画像は土曜日の銀座。歩行者天国をやっていました。もちろん私は道路の真ん中を歩いてきました。
先日の「ゲゲゲ展」の松屋銀座、ええ、間違えずに真っ直ぐにたどり着けましたよ。エヘン。
何も威張る事じゃないじゃない。
でも私、真っ直ぐにたどり着けない女。
その原因はいくつかあるように思うけれど、そのひとつはアレじゃないかなとふと思いました。
「智恵子は東京に空が無いといふ、」
高村光太郎の智恵子抄、「あどけない話」じゃないけれど、
思わず私も口に出る。
「吉里衣は東京に地図が無いといふ、
簡単に地図が見たいといふ。
私は驚いて街を見る。
・・・・」
なんちゃって。
だけど本当にないわ。気軽に見られる街の案内地図。
東京と言う街は、生活の中に組み込まれていない通りすがりの人も多数居る訳で、もっと気軽に見る事が出来る地図が街中にあって欲しいと思ったりする今日この頃です。
私が松屋銀座に一歩たりとも無駄に歩かなかったのは、なんちゅうことは無い。「ぼくのエリ」と言う映画を見に来た時に迷ったからです。
有楽町から出た出口も間違っていないし、行く方向もあっていたのに、ふとクイッと曲がってしまったのですよね。
なぜクイッっと曲がるのかは、私には永遠の謎。
でも素敵なお店だなとか、こんなところもあるんだとか、まあそれも楽しいっちゃ楽しいのですよ。だけど、行き着かないと困るわけです。もう誰かに聞いちゃおうと思いました。折りしもそこに黒い日傘を差し、炉の着物を着たお上品な奥様がいらっしゃったのです。
「あのう、銀座、お詳しいですか?」
なんだか「あのう」が怪しげですが、
「テアトル銀座、ご存知じゃないですか。」と私が尋ねると、
「さあ映画館は、みんなあっち側じゃないんですか。」とつれないお返事。
そのあっち側というのは有楽町の反対側の出口の事で、私もそっちで行けば分かるさと気楽に出てきて、気楽に迷っていると言うわけなのです。
なので私はありきたりのお礼を言って、その場を離れました。
とりあえず元来た道を戻ってやり直そうと思って行きかけたら、
「すみませーん」と先ほどの彼女が追いかけてきました。彼女は走って追いかけてきてくれたのです。
「さっきのそれって、吸血鬼の話でしょ?」
「そげです。」←もちろん、こんな風には返事はしませんケド。
「それなら、私、今その映画館の前を通り過ぎてきたのですよ。看板なんかを漠然と見てもきたのです。急に『ああ、アレか』と、今、気がついたのです。」と言って、映画館の場所を教えてくれたのでした。
私、驚きました。
分かれて数秒、そうすると距離も開いてしまうわけですよ。
その時に
「あっ、アレか!」と閃いても、見ず知らずの通りがかりの人だったら
「まっ、いいか!」にだってなっても言い分けですよ。
しかも優雅にお着物を着ていらっしゃるのですよ。
それなのに走って、追いかけてきてくれたのです。
「ありがとうございます。」
もちろん、私は心をこめてお礼を言いました。
その後、私は迷わずに目的地に着く事が出来たのです。
映画の後に、そのまま横浜の実家に行きましたので、その話を姉妹や先に来ていたラッタ君に話しました。
妹などは
「なぜ、そこでクイッと曲がるのよ、その癖は永久に直らないよ、きっと。年を取ったら徘徊するわよ。」などと言って、思わず
「首絞めたろか」と密かな私の怒りをかったりもしていたのですが、みんなが良い人だった、良い出会いだったねと言ってくれました。
だけど、静かに聞いていたラッタ君・・・
「その人は、朝、その着物を着てる時に、まさか自分が今日走ることになるなんて思いも寄らなかったよな。優雅に一日を過ごそうと思っていたはずだ。いったい誰が、彼女を走らせたというのだ。」
ああ、それはワタクシです・・・
↓ 京橋
「智恵子は東京に空が無いといふ、」
あるよ~!
ビルの谷間からでも見える、美しい空が・・・
そしてその空の下、優しい人たちもたくさん居る!
おまけ
その日に食べた十割そば
先日の「ゲゲゲ展」の松屋銀座、ええ、間違えずに真っ直ぐにたどり着けましたよ。エヘン。
何も威張る事じゃないじゃない。
でも私、真っ直ぐにたどり着けない女。
その原因はいくつかあるように思うけれど、そのひとつはアレじゃないかなとふと思いました。
「智恵子は東京に空が無いといふ、」
高村光太郎の智恵子抄、「あどけない話」じゃないけれど、
思わず私も口に出る。
「吉里衣は東京に地図が無いといふ、
簡単に地図が見たいといふ。
私は驚いて街を見る。
・・・・」
なんちゃって。
だけど本当にないわ。気軽に見られる街の案内地図。
東京と言う街は、生活の中に組み込まれていない通りすがりの人も多数居る訳で、もっと気軽に見る事が出来る地図が街中にあって欲しいと思ったりする今日この頃です。
私が松屋銀座に一歩たりとも無駄に歩かなかったのは、なんちゅうことは無い。「ぼくのエリ」と言う映画を見に来た時に迷ったからです。
有楽町から出た出口も間違っていないし、行く方向もあっていたのに、ふとクイッと曲がってしまったのですよね。
なぜクイッっと曲がるのかは、私には永遠の謎。
でも素敵なお店だなとか、こんなところもあるんだとか、まあそれも楽しいっちゃ楽しいのですよ。だけど、行き着かないと困るわけです。もう誰かに聞いちゃおうと思いました。折りしもそこに黒い日傘を差し、炉の着物を着たお上品な奥様がいらっしゃったのです。
「あのう、銀座、お詳しいですか?」
なんだか「あのう」が怪しげですが、
「テアトル銀座、ご存知じゃないですか。」と私が尋ねると、
「さあ映画館は、みんなあっち側じゃないんですか。」とつれないお返事。
そのあっち側というのは有楽町の反対側の出口の事で、私もそっちで行けば分かるさと気楽に出てきて、気楽に迷っていると言うわけなのです。
なので私はありきたりのお礼を言って、その場を離れました。
とりあえず元来た道を戻ってやり直そうと思って行きかけたら、
「すみませーん」と先ほどの彼女が追いかけてきました。彼女は走って追いかけてきてくれたのです。
「さっきのそれって、吸血鬼の話でしょ?」
「そげです。」←もちろん、こんな風には返事はしませんケド。
「それなら、私、今その映画館の前を通り過ぎてきたのですよ。看板なんかを漠然と見てもきたのです。急に『ああ、アレか』と、今、気がついたのです。」と言って、映画館の場所を教えてくれたのでした。
私、驚きました。
分かれて数秒、そうすると距離も開いてしまうわけですよ。
その時に
「あっ、アレか!」と閃いても、見ず知らずの通りがかりの人だったら
「まっ、いいか!」にだってなっても言い分けですよ。
しかも優雅にお着物を着ていらっしゃるのですよ。
それなのに走って、追いかけてきてくれたのです。
「ありがとうございます。」
もちろん、私は心をこめてお礼を言いました。
その後、私は迷わずに目的地に着く事が出来たのです。
映画の後に、そのまま横浜の実家に行きましたので、その話を姉妹や先に来ていたラッタ君に話しました。
妹などは
「なぜ、そこでクイッと曲がるのよ、その癖は永久に直らないよ、きっと。年を取ったら徘徊するわよ。」などと言って、思わず
「首絞めたろか」と密かな私の怒りをかったりもしていたのですが、みんなが良い人だった、良い出会いだったねと言ってくれました。
だけど、静かに聞いていたラッタ君・・・
「その人は、朝、その着物を着てる時に、まさか自分が今日走ることになるなんて思いも寄らなかったよな。優雅に一日を過ごそうと思っていたはずだ。いったい誰が、彼女を走らせたというのだ。」
ああ、それはワタクシです・・・
↓ 京橋
「智恵子は東京に空が無いといふ、」
あるよ~!
ビルの谷間からでも見える、美しい空が・・・
そしてその空の下、優しい人たちもたくさん居る!
おまけ
その日に食べた十割そば