横浜美術館にて「ドガ展」を見てまいりました。
だけど、時間が経つのって早すぎる。見に行ったのは、先週の月曜日、9月27日だったのです。
横浜の実家に行ったついでに姉とで雨の中出掛けてまいりました。
今回のドガ展、なんと言っても目玉はこれじゃないかなと思います。
パステルで描かれた「エトワール」。日本では初公開。
この絵は期待通り・・・、それ以上だったかもしれません。まるで絵の上部から照明を当てているかのような錯覚に陥る作品でした。もちろん照明なんかなしですよ。舞台の一瞬を切り取ったような、そんな作品。光と影。その華やかさの影に、なぜか物悲しさを感じたのでした。
私は、それをあの舞台を見た後に感じる、祭りの後のような感覚が描かれているような気がしました。
華やかな舞台、その一瞬の煌き。ダンサーは夢を与え、見ているものがその瞬間に引き込まれる。
だけど、その後には必ず現実の世界がすべての者に訪れるのです。
ところで、早々とお土産コーナーのお話です。
そこのレジ横に「怖い絵」と言う本が置いてありました。
私も姉も気にはなりましたが、なんとなく美術関係で置いてあるのかと勝手に解釈してしまいました。
ところが、その本が置いてあるのには意味がありました。その本にこの「エトワール」は取り上げられているのですね。
怖い絵 | |
中野 京子 | |
朝日出版社 |
どんな風に取り上げられているかは、実際にてにとってお確かめください。(いきなり本の営業マン)
私はそこに書かれている考えには全面的には共鳴できないのですが、この本は面白そうですね。絵の解釈が広がりそうです。読書習慣復活中なので、いつかきちんと読んだ時に、また感想なども書けると良いなと思っています。
以下は気に入った絵です。
<田舎の競馬場で> 浮世絵の影響を受けていると言われている・・らしい。手前の馬車などが全景を描かれずに切られている所などから、そういわれているらしいのですが、日本人の私には言われなければ普通の構図に感じます。と言うところが、日本的なゆえんかな。と言うか、この文章自体が分かりづらい?
要するに、見慣れている訳ではないのですが、それでも身近に感じている浮世絵の影響と言われても、言われたからそうなのかと分かる。それは浮世絵が身近ゆえに、と言う事が言いたい訳ですが、余計分からない文章になってきたので、もう止めますね(汗)
←この絵は【ベレッリ家の家族】。展示されているのは<ベレッリ夫人と二人の娘>で、この絵のための習作でした。
この展覧会には、下絵・習作・模写なども多数展示されていて、凄く学ぶものがありました。
素晴らしい作品は、作家の天才的なインスプレーションのみでは決して描かれてはいないのです。
<バレエの授業>
<綿花取引所の人々>この絵は、凄く気に入りました。音声ガイドの解説がとても分かりやすく「へえ」と思う内容だったからかもしれません。構図とか人々の表情とか、描かれた背景とか。何も知らなかったら「おじさんたち」と思って見逃してしまったかもしれません。ずっと見ていても飽きない絵です。
<浴盤(湯浴みする女)>これもパステルで描かれています。結構有名な絵ですよね。
ドガの描く裸婦は理想化されず、ありのままの日常が描かれているのが特徴。
ちょっと変な感覚かもしれませんが、上から描くこの絵の方が、私にはよほど怖い絵に感じます。もちろんそれは美術館にては何も感じなかった事ですが、今、この絵を見ていたら、ふと感じてしまいました。
髪を押さえる手。手を広げてからだの重みを支える手。
一瞬の切り取りの中に、彼女の想いはどんなものを切り取られていたのでしょうか。
または、どんな会話がなされながら、モデルと画家はこの絵の前に対峙していたのでしょうか。
そんなことをぼんやりと考えてしまいました。
やはり、女性である私にとっては、裸婦は「現実」より「理想」の方が好みなのだなと思った次第です。
現実と言えば、絵の向こう側には画家たちの生活もあって・・・・
<マネとマネ夫人像> 友人マネと夫人を描いたものですが、贈られたマネが夫人の部分が気に入らなくて切り取ってしまったと言われています。その絵をドガが見つけて持ち帰ったと言うのです。
晩年、写真に凝っていたドガの自宅写真には、この絵がしっかり飾られていたように思います。
まさにドラマですね。
と言う訳で、「横浜美術館」にて12月31日まで開催されています。
休館日は木曜日。普通の公共施設が月曜日が多かったりするので、お間違いなく。祭日、12月30日はやっているそうです。
「エトワール」、見る価値アリですよ♪