に載せたキアゲハ、あおちゃんのお話です。
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おとといだったか、マンションの花壇の水遣りをしていた時に、一羽のキアゲハがひらひらと私に近づいてきました。
私は、にこりと微笑んで
「あおちゃん !」と呼んでみました。
すると、そう呼ばれたキアゲハは、私の前で羽ばたいて、ひらひらと空高くに消えていったのです。
7月に入った頃、私は何となく元気が出ませんでした。
たぶん理由は一つだけではなかったのですが、ひとつは、ベランダに居たアオムシが突然いなくなってしまったからなんです。
最近、私はベランダの植物の一番いい時を、ちっとも写真に撮ってあげてません。
心に余裕がないからだと思うのですが、今年はベランダのパセリがイキイキと育ち、めったにはそれを使う事もないのですが、「ヤッター」と思っていたのです。
ところが6月のある日、ベランダに居た夫が、
「パセリに虫がついてる。」と言いました。
私は風で飛んできて、植物たちにへばりつく小さなアブラムシたちかと思って、眉をひそめました。
「いや、違うよ。アオムシだよ。いっぱいいるな。」と、また夫。
アブラムシでなくても私は
「ゲ~ !!」と、それこそ苦虫を踏みつぶしたような顔をしました。虫なんかは、みな苦手です。
「そう言えば、ここのところ蝶の姿を見かけたから、卵を産んでいたのね。」と私。
「じゃあさ、もういいや。そのパセリ、そのアオムシたちにくれてやるわ。」
すると夫は、そのパセリに向かって話しかけていました。
「良いって言ってるよ。良かったな。おお、凄いぞ。ムシャムシャ食ってる。食ってる音が聞こえるぞ。」とはしゃぐ夫。
好きじゃないので、虫に関してはまったくの知識無しな私。ベランダ中が荒らされるかと思って検索したら、1種類のものしか食べないのだそう。じゃあ、被害はパセリのみという事なので、私は安心しました。
それになんだかベランダに生きものが住んでいるのは、意外と楽しかったのです。
私は、凄い勢いで食べられてハゲハゲになっていくパセリに住む住人たちに言いました。
「ここに住むことだけは許すよ。好きなだけそれを食べても良いよ。足りなくなったら、また買ってきてあげるから。でもそれ以上の事はしないからね。」と。
そして毎朝見に行きました。
触れと言われたら断固拒否ですが、見てる分には、だんだんと可愛らしく感じるようになっていきました。
で、ある日、突然いなくなったのです。
普通考えるのは、蛹になったのではないかですよね。でもその蛹が見つからなかったのでした。今思うと、私はここでこういうイメージでと思い込んでいたので、見つけられなかったのだと思います。
それに前に夫は、たくさん居ると言ったのに、私が翌日に見に行った時は二匹だけ。
捜してみると、土に転がっているものも発見して、アオムシも普通に生き抜くのは大変なんだなと思っていたのです。
蛹が見つけられなかった事。その前の時に、死骸を見つけていた事。それから他の方のブログで、『毎年くるけれど毎年いつの間にか鳥などにやられて、いつの間にかいなくなっていたので、今年は飼ってみた。』と言うものを見つけた事。
それらから、私が出したいやいやながらの結論は、「そして誰もいなくなった」だったのでした。
何もしないよと言いながらも、少々、ネットでも何かしらを読んではいました。ハエの寄生とかいろいろ。
たまたまですが最近引き籠り生活の多かった私は、鳥やハエなどが飛んでこないように、あんず猫隊長にも協力を依頼して、さりげなく最悪な状況からは守っていたと思うのです。
あの時ちょっとだけ、珍しく長いお昼寝をしたからいけなかったのかしら。その時に油断していたから、鳥がやって来たのかしら。モンモン。
あんなにコロコロ太ったのは、鳥に美味しいご飯をあげるためじゃないよね(ノД`)・゜・。
でももう一匹いるから・・・・・と思ったら、その子も居なくなっていました。
それを夫に言うと
「仕方がないね。うちのベランダではダメだったという事なんだよ。」
「そうか」と思ってしょんぼり・・・・・。
この話を姉妹にしたところ、妹の名都さんがさりげなく言いました。
「名前を付けてなくて良かったね。」
「う、うん。確かに。」
確かに、名前は付けていなかった・・・・・。
だけど私は何気なく、心の中で「あおちゃん」と二匹のどちらでもなく、呼んでいたのではなかったかと思い、また悲しく思ったのでした。
7月14日水曜日。
暑くて怠かったのであまり出たくないな~と思いながらも、自分を叱咤激励しマンションのサークル活動に参加してきました。その日は仲の良いお友達も仕事で不参加と分かっていたので、無言での作業で草むしりもかなり効率よく進み(じゃあ、いつもは ?)、気の進まない参加だった割には、家に帰った時には、かなりの自己満足度が高かったのでした。
ふう、ヤレヤレとテーブルの椅子に座り、水分補給をしながら、ふとベランダを見ると、・・・・
「えっ ? あれ、何かしら。」
カーテン越しに見えた不自然な葉の影。
「まさかっ 、 もしかして ? 」
そっと窓際に近づくと、羽を閉じた蝶がそこに居たのです。しかも羽が透き通っているのです。
だったら、このベランダで、今蝶の姿に生まれたばかりって事だよね。
じゃあ、あおちゃんだよね。
急いでベランダに出て、スマホのカメラを向けると、羽を広げてしまいました。
惜しかったな。
あの透明な羽を写したかったな。
そして数時間後、羽を乾かしたのち、あおちゃんは飛び立って行ったのでした。
ひらひらと、最初は二・三軒先のベランダに降り立つのが見えました。
「もっと先に飛んで行ったら、お花畑があるよ~。」と私は心の中で言ったのでした。
(画像の下に文が少々続きます。)
私は蝶の写真を姉妹たちにすぐに送りました。
みな凄く喜んでくれて、入院中のスノウさんは家にいる娘ちゃんにその画像を送り感激し合ってくれました。
「誕生」には、「復活」または「再生」の心が隠れているような気がして、励まされたのだと思います。
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ねえ、ブログマジックって知ってる?
何処を切り取るかで、見えてくるものが違うんだよね。
上に書いた話は、1ミリも嘘のないお話。だけどちょっと違う風にも書けるんだ。
次は、そのお話を書くね。