森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

ポーの一族「秘密の花園」Vol.9

2021-08-29 22:53:29 | 漫画・マンガ・まんが

春の終わりのアーチの薔薇です。(今年はちょっと寂しかったです。)

※       ※      ※

時に人は、降れ伏して手に土塊をつかんでのたうち回るほどの後悔を、過ぎてしまった過去の出来事に想う時もあるでしょう。

だけれどどんなに苦しみもがいても、その過去の時間に手も届くこともなく、滂沱の涙を流し胸を締め付け、自分の嘆きで寿命を縮めていくしかないのです。

アーサー卿のように。

思わず泣きました。

切なく、そして悲しかったです。

届くことのなかった、17年前のパトリシアの手紙が届きます。

想いのこもった切羽詰まった、彼女からの心からの手紙でした。

もしもあの時、その手紙を読んでいたら、違った人生があったかも知れない・・・・・

どんなにそう思っても、もうどうしようもない事です。

なぜ、どうして、なぜ、どうして、そうなってしまったのだろう・・・。

アーサーほどではなくても、またはそれ以上かもしれない、そんなボタンを掛け間違えてしまったかのような事は、誰もが自分の人生の中にあるかもしれません。

そしてかつて一度完結してしまった「ポーの一族」ですが、作者の人生の時間の積み重ねが、今これを描かせているのではないかと思うと、人生に無駄な時間はナイナと、やはり思ってしまったのでした。

本の紹介の下からはネタバレ感想です。

本屋に行けないので、最初から密林サイトで買おうと思っていましたが、発売日の27日で既に紙の本は送料無料のAmazonprimeでは買えません。数日たつと、本自体も定価は難しくなっていました。これからは予約で買うか、またはkindleで買おうと思いました。

私の場合は、他の作品をほとんど読まないので、そちらの方が良いなと思っている所です。

 

 

アーサーは、幽霊に突き落とされて大けがをしたダニーを見舞います。

彼はダニーに自分の罪を告白したかったのだと思います。罪を告白しても、それで心が少しでも軽くなればと思ったに相違ありません。ところがダニーも同じようにアーサーに告白をします。

姉が身籠っていた赤ん坊は、アーサーの子どもではなかったのだと。

だけど子供を産むために、姉とダニーとで、アーサーを騙したのだと。

ダニーの告白の過去映像シーンは、さながら映画のようでした。

薬草を飲ませて殺したと言っているのに、ダニーはまるで聞く耳を持ちません。

自分が告白する事で、いっぱいいっぱいになってしまっているのでしょう。

しかし今は、自分の罪の重さを軽くすることに夢中になっていても(幽霊が怖いし)、この先時が経って落ち着いて来た時に、記憶の中で、アーサーの告白を「聞きたくない !」と聞き流すことなんかできるのかなと、少々思ってしまいました。

それはともかくも、結局アーサーの心は、ずっと重いまま。

フォルテが死んでエドガーが去ってからのアーサーは、散々な毎日です。

 

だけど生きていく道は、常に罪と罰の繰り返しなのかと、私は思ってしまいました。

アーサーを騙さなければ、ダイアナだって死なずに済んだのに。

アーサーの気を引こうとしてドミニクに笑いかけ、その彼の愛の詩を笑ったりしなければ、パトリシアの書いた手紙はアーサーに届いたのではないでしょうか。

 

今のアーサーの肉体の苦しみも、アーサー自身の生み出したものなのかも知れません。

彼の最後のページの言葉が、胸に突き刺さります。

「怒りが」

「私を醜くする」

「やはり私は醜い鬼だ」

「助けてくれ・・・・」

「ランプトン・・・」

 

次回も楽しみですね。

(枠外の『花ごよみ』。パソコンが壊れた理由が衝撃的でしたね。なんと猫ちゃんのおしっこ。仕事で構って貰えなかったレオちゃんの復讐だったのかしら^^)

 

秋薔薇の季節も楽しみですね。でも今年はなにげに早いような気がします。8月25日撮影。


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