ちょっと遅れて見たドラマの感想を書いてます。
時代劇でありながら、怪獣もの。
怪獣映画で育ったような私ですから、見なきゃって思いました。(笑)
怪獣と言うものには、その誕生の秘密があるようです。大概が生物の突然変異や宇宙からの飛来などのSF的なものが多いと思います。
それが時代劇になるとどうなるのか。やはりそこは一番の興味のあるところでした。
だからなのか私、「荒神」を見て思ってしまったわけなのですが、これはやはり大きさがビッグな妖怪なんじゃないのかって。「どろろ」の百鬼丸が出てきて闘っても違和感ナシ。
土をこね、そこに沢蟹やヤモリの死骸(不正確)を山のように混ぜ込み、そして人々の怨念のこもった生き血をささげる。それは血のみではなく命さえも。何人も何人も・・・・・。
こういう流れから生まれ出たものを、人は妖怪と恐れて来たのではなかったのかしら。もしくは「神」と敬ってきたのかもしれません。
そう言ったものに命を吹き込む一族が出てくると言うのも、いかにも不思議。
と言う事は、これはファンタジーフィックションの、SFって事だったのかもしれませんね。
まあ、ジャンルはどうでも良いことかもしれませんが、その怪獣が襲ってくるシーンは迫力があり、見た目も不気味で恐ろしく見ごたえがありました。人々が襲われるシーンも怖かったです。
また兄妹の、切ない物語も良かったです。
自分から遠く離れていくのならいっそと刃を向けてしまった妹。その想いに応えるように、血まみれになりながらも禁断の愛の一線を越えてしまった二人。
朱音は、その時に怪獣に命を与えてしまったと思い込みます。その罪が命を・・・・。
だからあの怪獣は私の子供ですと言うのですが・・・・。
もしも最後の仕上げとして、その一族の者の契りが必要だったのならば、それはそうならざるを得なかった運命の罠だったのに違いありません。
その罪におびえ、今も慕いながら、その距離を置こうとする妹に対して、兄は今も妹を思っているのです。生きるよすがと。なんかちょっとドキドキするようなものがありました。
だから欲を言えば、もっとしっとりとじっとりと描いて欲しかったです。朱音は拒むばかりでなく、時には揺れる心と言うシーンもみたかったです。
それなのに最後は、宗栄に気持ちが向かうみたいな展開だったら、「キャー」とかなったかも。
お兄ちゃんは結構あっけなくて、勿体ないような気もしてしまいました。
まあ、それは勝手な事を言ってるだけですから^^
(良いと言いつつ、さりげなく文句も言う。)
でもはっきりとちょっとなと思う事もないわけではないですよ。
やっぱりざっくりで良いから、絵師以外の後日談はやって欲しかったです。弾正の妻の音羽は朱音の代わりに村に残ったようですが、彼女の兄などはどうしたと言うのでしょうか。
また敵対していた香山藩の兄妹の一族を追い込んだ藩主はどうなったと言うのでしょうか。
「ロミオ&ジュリエット」のように長年の争いをやめたのでしょうか。それともまた人々が無益な戦いを始めた時には、再び荒神は現れるぞと言う事なのかも知れません。
あの一族の血と力は弾正の子供の一の姫に引き継がれたようですから。
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荒神 | |
宮部みゆき | |
朝日新聞出版 |
新聞掲載時の挿絵がこうの史代の物だったのですね。荒神の絵物語。ちょっと素敵じゃないですか。
荒神絵巻 | |
こうの史代,宮部みゆき | |
朝日新聞出版 |
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