・ポーの一族「青のパンドラ」Vol.9「ヨーク・ロイヤル・ダイヤモンドホテル_01」の続きです。その回の時、短いと文句ばかり言っていたと思います。やはりあの後の萩尾望都氏の活躍ぶりは凄かったですね。
フランスのアングレーム国際漫画祭で特別栄誉賞を受賞するなど、要するに忙しかったのですよね。何か病気とかだったらと心配してしまったのですが、違っていたので良かったと思い、その受賞が本当に誇らしかっいたので
さて続きは初夏と言われていた「ヨーク・ロイヤル・ダイヤモンドホテル」の続きの感想ですが、それを読んで一番強く感じたのは、この物語は底辺が広いと言うことなんです。
彼らの起源から語られているこの「青のパンドラ」の落としどころは、いったいどこになるのかしらと思います。
ポーの一族の歴史は分かっても、それを生み出した「神」なるものが何かというのは、人はどこからきてどこに行くのかという謎に等しいようなものなので、やはりアランの未来にその結末のクライマックスがあるのかも知れません。
だけどこの「ヨーク・ロイヤル・ダイヤモンドホテル」は、そのホテルにポーの村の面々、アルゴスにカミラ、さらにカミラの不倫相手のライナーとその家族までいるのです。
なんかこれって・・・・なんて言うのでしたっけ・・・・「群像劇」・・・・もっとかっこいい名前がなかったでしたっけ・・・「グランド・ホテル形式」かな。
アルゴスはカミラに言います。
「お前はライナーを手に入れて、俺はダフネ―を手に入れる」と。
不穏な空気ですね。
一方アランは、人間になってしまった事に戸惑うばかり。意外と冷静にエドガーは受け止めて、食事などにも彼の栄養バランスなどを考えています。
成長すると言うことにも恐れを感じるアランに、ルチオ一族のオリオンは、彼の体の中に入り込んでしまった血の神を取り戻したいゆえに、巧みにアランをヴェニスに誘います。
そして「Ⅲ」では、冷静な態度のエドガーの苦悩が言葉になって描かれていました。
納得などしていないのです。彼だって。だけど引き受けるしかないのですよね、その運命を。
現実に、アランが今から人間として生きていくには、大変な事です。
出生証明書も身分証明書もないアラン。
エドガーと言い争って、家出しようかと思うアランでしたが、そこは冷静です。どうやって生きていこう・・・とちゃんと思うのですから。
そこをやはりオリオンがやって来て、彼の手を取るのでした。
しかしエドガーは、アランは血の神によって生かされている、それが抜けたら果たして生きていけるのだろうか。そして
最後のセリフは胸キュンでしたね。
「ぼくが見ていないとこで死ぬな!!」
この先が滅茶苦茶、気になります。
だけど思うことがあって、次回の「ポーの一族」の感想はコミックになった時にしようと思います。
今回は、本編に引き続き萩尾氏と清水玲子さんの対談が載っていますが、それもゆっくりと読みたいと思います。
(このようにまた積読の本が増えていくような気がします。)
今までは他の作品はほとんど読まなかったのですが、近頃は「ミステリという勿れ」も楽しみで、今回はライカとの別れが切ないのですが、とっても良かったです。