蝶子さん(姉)とは、月曜日には定期的に用が無くても電話し合うのが習慣です。
その時に「麒麟がくる」の感想などを言い合ったりもするのですが、
「あの暗殺のシーン、怖かったね。」と彼女が言いました。
「うんうん。怖かったね。」
ー 「兄上、」と声をかけると、襖がバーンと閉まって、そしてあっと言う間に孫四郎も喜平次も・・・・・
だけど
「木下ほうかさんが、凄く手ごたえがあったとツイッターで言っていたね。」と続けて言ったので、ああ、あっちだったのかと分かりました。
「うんうん。怖かった。」と私はまた言い直しました。
まるで合わせ鏡のように、物語が進んでいくような気がしてしまいました。
あっちの暗殺、こっちの暗殺・・・・・。
尾張では、信長の叔父の信光が守護代の清州城城主織田彦五郎を殺害します。
ここまで書いてから、実はずっとずっと織田家家系図を見ていました。
えーと、えーと、えーと ??????
応仁の乱以降織田家では・・・・・・・って、とても人様には説明できません。要するに信長の家は分家なんですね。信光は叔父さんだけど、彦五郎は遠い遠い親戚みたいなものと考えたら良いのかしら。
叔父さんと言えども、家督を継いだ信長に気を使っている様子の信光は、彦五郎に碁を打ちに来いと誘われている。行ったら信長はどう思うだろうかと言うのです。
ところが帰蝶はその時微笑んで、「何たる好機ではありませんか。こちらも手詰まりだった故、是非打ちに行きなされ。」と信光を促すのでした。
打ちに→討ちに
なんと恐ろしいかけ言葉なのでしょうか。
けっこう緊迫した暗殺のシーンでしたね。
まあ、ドラマですから、この後信光はどのように脱出をしたのか、またはどのように信長が来るまで持ちこたえたのか、更にまたは・・・・とその先の事は深く考えないのがルールなのかも知れませんね。
しかしやっぱり蝮の娘だったのだと、テレビ前で皆思った事でしょう。
私も信長が帰蝶の前では自分をさらけ出して泣いたり甘えたりするのは、帰蝶が美しくて一目ぼれをしたからだけではなくて、帰蝶の中に同族の自分と同じ何かを感じていたからだったのかと思いました。
そしてもう一つの暗殺。
高政の兄弟殺し。本当になぜ道三は正室の子供ではない高政に家督を譲ってしまったのでしょうか。
どうもタダでは教えてもらえないらしいので、どなたかお支払いをして聞いて下さらないかしら。
確かに家督を奪い取ろうとする動きがあって、孫四郎は危ない存在ではあったのです。だけどキャピキャピはしゃぎながら孫四郎を伴って鷹狩りに出掛ける道三たちを、厳しい顔で見つめる高政からは、それ以上に憎しみがあり、そして寂しさがあったようにも感じました。父に愛されなかった寂しさが。家督を譲ったと言う事が、愛の証とは受け取る事が出来なかったのかも知れません。
「高政よ」「高政よ」と名前を呼び、ことあるごとに酒を飲みかわし、共に野原を駆け回り、そして嘘でも良いから何かしらを褒める・・・・・
彼はそんな程度の事を、もしかしたら望んでいたのかも知れないなんて妄想をしてしまいました。
だけど高政は知らないのです。
信長が生きていた頃の父に何をやっても褒められず、それどころか母にさえも愛されずに育ったことを。
息子たちの亡骸を目にした道三。その嘆きは、まるでシェークスピアのお芝居を観ているかのようでした。
「出て来て、この血の匂いを嗅ぐがよい !」
セリフも良いけれど、本木君、素晴らしいです。
そして伊藤さんも。
彼らは自分の演技に拘る演技派ばっかりなので、この演技合戦は果てしなく続き終息を見る事がない。
コロナと違って、こちらのそれは嬉しい限りですね。
そして我らが主人公の光秀は、孫四郎からの先頭に立って旗を振って欲しいと言う要望をそつなくお断りしただけのような気がしてしまうのですが、今は仕方がありません !!
《駒ちゃんに藤吉郎、触れてあげなくてスマヌ。》