「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

子どもの好奇心を育みたい

2007-03-14 16:06:36 | 教育
本日、第二回の心理学の講座が
あすなろの木で開催された。
講師は、伊丹龍義氏。
講義内容を私なりに
解釈してまとめてみた。


*好奇心とは?
興味+行動=好奇心
好奇心とは、
「何で?」と問い、行動する心をいいます。
好奇心が、実際に創ることにつながると
「創造性」になります。

*現代を生き抜くには、好奇心が不可欠!!
今の時代、二極化が起こっています。
それは、収入面だけでなく、
情報、科学、コンピューターITなどにおいてもです。

その分野の知識があると、
その分野の情報に振り回されることがありません。
その分野の知識がないと
出された情報を鵜呑みにして、そのままいいように
コントロールされてしまうのです。
例えば、あるある大辞典のように、
納豆がダイエットによいということで、
納豆購入騒ぎになるということがあげられます。

また、その知識があることで
自分自身が参加できる社会というものが、
ひろがります。

ある知識を使いこなす能力を
「リテラシー」といいます。

メディア・リテラシーは、情報を使いこなす能力。
「サイエンス・リテラシー」は、科学の知識を使いこなす能力。
「PCリテラシー」は、コンピューターの知識を使いこなす能力。
「イングリッシュ・リテラシー」は、英語の語学力を使いこなす能力。

リテラシーを身につけることは、
とても大切で、
リテラシーが多いほど、
自己実現がしやすくなります。

そして、このリテラシーを
身につけるのに、最も大切なものが、
好奇心なのです。

「面白そうだからやってみよう」と思い、
行動することで、
リテラシーが身につくのです。

格差社会、二極化社会を生き抜くには、
リテラシーが必要。
そのリテラシーを身につけるのは、
好奇心が大切なのです。

*好奇心を育てるには
環境が大切である。
環境づくりをすること。
よい体験ができる環境づくりである。
そのポイントは、以下の4つ。

1)触れやすく、結果が見やすい環境をつくる
自分で扱って、その結果が、五感で楽しめるものがよい。
ある心理学者に質問されました。
好奇心を育てるのにいちばんよいおもちゃは?
「新聞紙をぐちゃぐちゃまるめたもの」と答えたそうです。
新聞紙の手触り。
新聞紙の広告の色や、文字の視覚刺激。
新聞紙の触った時の音が、聴覚刺激。
五感にうったえる要素がそろっています。

2)禁止環境をへらし、OK環境をふやす
触っていけないものをへらし、
触ってよいものを増やします。
壊れやすいものを触って、
ダメと注意されると、
それで触れる行動はへり、
好奇心が育まれなくなります。

3)興味を持ったことについての、原因と結果をみせる
(年齢があがったら、抽象的な言葉による伝達)
あることをしたら、あることがおこるという、
原因と結果を見せていきます。
例えば、蛍光灯のスイッチを入れる⇒部屋があかるくなる

4)積極的な創造性を評価する
無視せずに、見合った形で誉める、
もしくは、反応を変えることです。

普段から、1)~4)を意識した、
環境づくりをしたいものです。
そして、普段から「あれ何?」という
質問について、私たち自身も考えておくことです。


*読み聞かせについて
読み聞かせで、本の中で冒険し、
体験します。この体験が多ければ、
その分、好奇心もひろがります。

では、どうやって、読み聞かせをしていくとよいのか。
一番大切なポイントは、
読み聞かせるのは、両親もしくは信頼されているひとが
読むことである。
けっして商業主義に流された、読み聞かせテープ・CDでは、
ないのである。

①読み聞かせる人が好き⇒本自体が好きになる
②本が好き⇒読んでもらうことを求める。
③読んでもらうことを求める⇒自分で読むようになる。
このようなステップで、
読み聞かせから自分の読書習慣につながっていくのである。


*絵画・クラシックを鑑賞すること
好奇心を育むにはよい題材である。
しかし、抽象的なものを理解することは
難しいので、信頼している人が
楽しんできいていることなどが、
楽しいと思うきっかけになりやすい。

子育て広場あすなろの木では、
子ども達へのクラシックと接する機会をつくる
NPOトリトン・アーツ・ネットワークと連携している。
せっかくのよい環境であるので、
中央区の子が、クラッシックを親しんで、
好奇心を育んでもらえれば幸いである。


*学校生活の中で、好奇心を育むには
学校生活でゆとり教育が言われていた時は、
好奇心を育むことを目指したが、
実際、30人、40人とクラスの生徒が多い中、
なかなか実現が難しい。
いまや、残念ながら、
ゆとり教育がだめといわれているわけで、
これからは、好奇心をはぐくむという
発想自体がなくなりそうで、
たいへん危惧される。

地域の人が、学校に出向き、
個々の生徒と接し、
子どもひとりひとりの
関心を知り、
好奇心を育んでいく。
これが大事であろう。

中央区の教育委員会の事業
「プレディ」(放課後の子ども達の活動を地域の人が
学校に出向いて見守る中央区の事業)があるが、
地域の人が、学校に出向く
きっかけ作りが出来た。
今は、こどもの活動の安全の見回りが
中心だが、今後は、
好奇心を育む企画、講座なども
増やしていけばよいと考える。


*まとめ
環境づくり
親しい人がいっしょになって

楽しんで体験
好奇心が育まれる

リテラシーが身につく

創造性を社会で発揮
社会で自己実現。

好奇心を育むことが大切である!!

文責:小坂和輝
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3/14 分かち合うことを教えれば、子どもは、思いやりを学ぶ

2007-03-14 01:38:59 | 子育て・子育ち
第14回 分かち合うことを教えれば、子どもは、思いやりを学ぶ

私たちの家庭生活は、
家族が分かち合うことによって
成り立っています。
時間・スペース・エネルギーを
家族のほかの者たちと
分かち合うのです。
例えば、
お風呂を家族で順序よく、
おもちゃは兄弟で分け合い、
限られた収入源の中で家族で助け合います。

親自身が、
人に対して、
子どもに対して、
分かち合う心をもって接すれば、
子どもはその姿から学びます。

分かち合う心は、
よちよち歩きを始めた頃は、
「お母さんにクッキー一つ、お父さんにも一つ、
あなたにも一つ」と身近なものを使って
初歩的な分配を教えます。

もう少し大きくなると、
自分がとる前に人に配ってあげたり、
順番を待ったり出来るようになります。
遊びの中で、他人と何か分かち合うことを
学び始めます。

幼稚園に入る前から、
所有と貸し借りの概念をみにつけます。
「これは自分のもの、あれは人のもの、
そしてあれはみんなのもの。」

困っている人の役に立ちたいと思えるようになったら、
子どもは分かち合いの心をずいぶん学んだことになります。
学校や教会のバザーに参加するチャンスがあります。
こういう機会を活用して、分かち合いの心を教えたいものです。

ちょっと話題がそれますが、
お金を寄付するなどの話題が本書では出てきますが、
NPOフローレンスの勉強会をした時、
日本には、『寄付の文化』がないことが
話題になりました。
住民税の1%をNPO団体に
使うことを指定するなどの新しい税制システムを
考えることが必要かもしれません。

本当の意味での分かち合いとは、
与える行為であり、見返りを期待しない心です。
その人のことを思って、
その人が必要なものを与えることなのです。
そんな時、多少の犠牲をはらったとしても、
損をしたとは思いません。
なぜなら、
与えることによって、
私たちは本質的に得ているからなのです。

子どもを育てることは、
まさに「与える行為」そのものです。

ボランティア活動をしていて、
実は、助けられているのは自分だと
小坂も感じます。


*下の子が生まれること
妹や弟が生まれると、上の子は、
親の愛情をその子と
分かち合わなくてはならないのです。
上の子は、お母さんを奪われてしまったと
感じるかもしれません。
子どもの気持ちをうけとめ、
上の子とだけ過ごす時間を少しでも
多く作るようにすることが、
何よりも大切なのです。

小児科外来でも、
この種の話題は多く、
上の子の“赤ちゃん返り”が
見られます。
本書と同様に、
上の子との時間をこくする、
物事をするのに、
意識して上の子を先にするなどの、
アドバイスを私もしています。

*子どもと過ごす時間
「親はなくとも子は育つ」
というのは、ある意味で真実です。
しかし、大きくなってから、
子どもに向かおうとしても、
子どもはそんな親を必要とはしなくなっています。
子どものために時間を作るのなら、
子どもが小さい頃からそうしなくてはなりません。
私たちは、
経済的な理由や出生への
プレッシャーから、ついつい
仕事を優先させてしまいます。
あるいは、ボランティア活動で、
子どもの時間が割けないこともあります。
私たちに与えられた時間とエネルギーは、
限られています。
日々成長していく子どもに合わせ、
ライフスタイルを変えて行かねばなりません。


私も息子(小3)と娘(幼稚園年中)がいますが、
子どもとの時間を割きたいと思っています。
が、割けていないのが実情。
運動会、父の日などのイベントに参加したり、
特に授業参観には、是非行きたいと考えています。
勉強している姿を親に見せることを励みに、
子どもはとっても頑張るように感じます。

授業参観が理由で、仕事の都合をつけることができる、
PTAが理由で、または、
プレデイ(放課後の子ども達の活動を地域の人が
学校に出向いて見守る中央区の事業)が理由で、
仕事の都合をつけることができる、
当然子どもの病気が理由で、
仕事の都合をつけることができる、
そんな子育てにやさしい社会であってほしい。

文責:小坂和輝
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