「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

タミフルのこと

2007-03-24 05:45:38 | 医療
インフルエンザが、いまだにはやっています。

タミフルに関しては、
今シーズンは、当院も投与の是非を、
患者さんと相談しながら、考えて参りました。

3月21日(祝)の各紙一面
タミフル10代投与中止(読売、産経、日経など)
タミフル10代使用制限(朝日など)
;これらは、2例の転落事故の報告をうけての結果

という風に報道がありました。

そのもととなる厚生労働省の発表は、
***********************
10歳以上の未成年の患者においては、因果関係は不明であるものの、本剤の服用後に異常行動を発現し、転落などの事故に至った例が報告されている。このため、この年代の患者には、合併症、既往歴などからハイリスク患者と判断される場合を除いては、原則として本剤の使用を差し控えること。
また、小児・未成年者については、万が一の事故を防止するための予防的な対応として、本剤による治療が開始された後は、①異常行動の発現のおそれがあること、②自宅において療養を行う場合、少なくとも二日間、保護者等は小児・未成年者が一人とならないよう配慮することについて患者・家族に対し説明を行うこと。
なお、インフルエンザ脳症等によっても、同様の説明を行うこと。
************************

簡潔に言って、
ハイリスク者(ここでは、述べていないが、例えば、心臓疾患、喘息など)以外は、10歳以上には、タミフルは差し控える(使わないようにする)。
使った場合、異常行動をおこらないかも含め、子どもから目を離さない。


その後も、新聞報道では、

3月22日(木)
10代転落 報告15件に(朝日一面)

3月23日(金)
タミフルと異常行動
因果関係の否定 撤回
厚労省 見解転換も  (産経一面)
(タミフル服用後の異常行動に関連して、辻哲夫事務次官「今後の見解が変わる可能性がある。新たに判断し直す。」と述べた。)



私の診療所では、
もともと慎重にタミフルを
考えていましたので、
患者さんとのやり取りで、
いまのところ混乱はありません。


新聞報道からは、「医療現場は困惑」と伝えられています。
当院にもフジテレビさんから、
取材が三件あり、現場の声をお伝えいたしました。
(3/21ニュースジャパン、3/22とくダネ!、3/24ハッケン!)



今までの情報を総合しての、現時点での、
私のタミフルとの付き合い方を述べます。

①日常診療場面
タミフルを非常に慎重に考える。
使わなくてよいならば、極力その方向で
患者さんと治療方針を決める。

②厚労省の動きを検証
2例の発表で、上記指示を出したのなら、
動きが「早い」と思うが、15例あって、
この動きなら「遅い」と思う。
今後の迅速な対応に期待する。
3/23の日経社説が言うように
専門情報と権限を一手に握る役所に
『知らしむべからず よらしむべし』
の意識が生きていないことを願う。

③因果関係のデータ待ち
一万人規模の研究が開始されると
いわれているが、
タミフル使用と使用しないで、
異常行動の発現の度合いが
本当に違うのか、同じなのか、
そのデータが出るのを待ちたい。

④中外製薬の情報提供に期待
あたらしい情報が出た時は、
早急に現場にも知らせていただきたい。
今回も、3/21発表の緊急安全情報を
3/22に届けていただき感謝している。
これからも患者の安全を第一に考え
企業責任を果たしていただきたい。

文責:小坂和輝
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする