「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

3/4 「かわいそうな子だ」と言って育てると、子どもは、みじめな気持ちになる

2007-03-04 00:08:21 | 子育て・子育ち
第4回「かわいそうな子だ」と言って育てると、子どもは、みじめな気持ちになる

私達は、
自分がみじめな気持ちになる時がありますが、
自分をかわいそうだと思えば思うほど、
ますますみじめな気持ちになり、
泥沼にはまり込みます。
子どもに対しても
かわいそうな子だと思えば、
子どもは、何事にも消極的になり、
自分は何をしてもだめなんだと思い込むようになります。

やる気のある子、努力を惜しまない子に
育てるには、どうしたらよいのでしょうか。
それは、まず手本になることです。
何事があっても絶対弱音をはかない
強靭な精神の持ち主になる必要はありません。
逆境に陥った時、
くじけずに立ち向かうことができれば、十分です。
私の座右の銘は、“Never Give Up”でありますが、
まさに、立ち向かうことは続けたいと思います。
でも、この精神で入られるのは、
自分の体が健康であればの話であり、
年に二回、風邪を引くことがありますが、
その時には、精神が弱まります。
体がまずは、資本な気がします。
“健全な肉体に、健全な精神が宿る”とは、
よく言い当てています。

もう少し、言うなら、
その健全な肉体を支えるのが、
医師でもありますので、
医師が適切な医療を提供しなくては、
人が健康にならず、
社会が病むことになる。。。



やる気のある子、努力を惜しまない子に
育てるには、どうしたらよいのでしょうか。
もう一つは、子どもを信じることです。
子育てで、必要な言葉を一つだけ述べよと、
質問されれば、私は、子どもを「信じること」と、
答えます。
何があっても、
あやまって事件を起こしたとしても、
例えは非常に悪いですが、
殺人の罪を犯したとしても、
親だけは、子どもを「信じ続ける」ことが、
大切だと思います。
逆を言えば、
子どもを「信じ続ける」親で育った子で、
反社会的な行動はとらないと、思っています。


だれでも、みじめな気持ちになり、
弱音をはいてしまうことがあります。
仕事で疲れている時、
誰も自分を認めてはくれないと感じる時などは、
特にそうです。
暗い気持ちでいると、
ますますみじめになり、悪循環です。

悪循環にならないためには、
気持ちを切り替えることです。
○自転車に乗って汗をかく
○外を早足で歩く
○私なら、ひとっぱしり、
隅田川の堤防をジョギングします
○ブログやメーリングリストを書くのも、
私には、気分転換です。
○よい自分の状態を、
どこか素敵なところを旅しているなど
イメージを頭に描く
・・・・・・


子どもに対して
自分の子どものころは、・・・・
と小言をいいたくなることがありますが、
子どもは、子どもなりに
一生懸命やっているのをお忘れなく


子どもが親にかまってもらいたくて、
同情を引こうとして、
仮病を使うことがあると書いています。
4歳のトレーシーが、
親にかまってもらいたくて
「お腹が痛い」と、
朝、保育園に行く間際に言い出しました。
そんな時、一番大切なことは、
親の同情を引けば、
わがままを通せるのだと、
子どもに思わせないように注意することです。
もし、学校に行きたくないために、
仮病を使っているようならば、
次のように尋ねてみるとよいでしょう。
「学校に行ったら、どうなっちゃうと思うの?」
「家でどうしていたいの?」
「本当はどうだったら一番よかったの?」
「どうすれば、そういうふうにできると思う?」
こんな風に問いかけてゆくうちに、
子どもは本当はどうしたいのかが、
自覚できるようになります。
親も、子どもとの対話をとおして、
子どもの状態をつかむことができます。

私が、補足するのであれば、
“子どもに仮病はない”と考えます。
本人が「お腹がいたい」といえば、
それは、本当のところお腹がいたくなかったとしても、
お腹が痛いと取るべきだと思います。
すなわち、「お腹がいたい」といいたくなる
状態にあるというメッセージであるからです。
そんな時は、迷わず、
かかりつけの小児科に行っていただきたい。
「これは、仮病と思われるから受診しない」とか、
考えるのではなく、
気軽に受診していただいて、
かかりつけとして、
いっしょに子どもの状態を、
親御さんと
診て行きたいと考えています。


また、子どもは、
「自分にはできない」といって、
親の同情をひこうとすることもあります。
「自分にはできない」は、究極の言い訳になります。
本当のところは、
できないのではなく、
やる気がないから、
あるいは、やりたくないから、
こういうことを言う場合があるのです。

この手に乗ってしまったら、
「自分にはできない。自分には能力がない」
という子どもの言い分を、
親は受け入れたことになってしまいます。
こんな後ろ向きの姿勢を、
子どもにとってほしくありませんね。
子どもの話をきき、どうしたら
前向きになれるかを
子どもと一緒に考えることです。
親の役目は、子どもを励まし、
導きながら、
うもれている能力を
引き出すことなのです。

手助けのかげんが難しいですが、
最初にアドバイスを与え、
手助けをしておいて、
後は子どもに任せることことです。
子どもが自力でやりとげられるように
見守ることが大事なのです。

『同情と共感』
私達は、
かわいそうな人に同情します。
しかし、同情とは、
相手と距離をおく感情です。
かわいそうな人に
同情することによって、
自分はそんなめにあわなくてよかったと、
こころのどこかで優越感にひたっているのです。

そうではなく、
共感することです。
共感とは、相手に近づこうとする感情です。
共感するとは、
相手の苦しみや悲しみを、
わが身のこととして
感じることです。
共感とは、思いやりの感情であり、
相手のために何が出来るかを
考える心の働きです。

こどもが苦境にあるとき、
親として共感し、
「あなたならできる」と子どもを信じる。
そうすると
子どもも「できる」と信じることができます。
子どもを信じて励ますことが、大切です。


私が思うに、
子育てがテーマで集まりで、
親御さんからよく出る質問は、
「子どもにやる気がないのだけど、
どうしたらよいですか」というのが、
よくでます。
ここにありますように、
「子どもを信じ、励ますこと」これが、
回答のように感じます。

あと、『共感』ということが出ました。
人はコミュニケーションをとる存在ですが、
コミュニケーションの究極の目的はなにか?
それは、一言で言うと、『共感』です。

子育てや教育の中で、
人の気持ち、自然の営みに、
『共感』できる子に
育ってほしい。
その環境を整えるのが
大人の責任だと思います。

文責:小坂和輝
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする