「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

がんに、のぞむ。

2007-03-27 12:51:40 | 医療
遠からず
男性の2人の1人
女性の3人に1人が
がんになると考えられており、
誰しもががんと無縁に
生きることは出来ない。


そんな中、
『がん対策基本法』が
昨年2006年6月成立し、
今年2007年4月施行される!!
がん対策が、“国家戦略”と位置づけられるのである。
日本のがん対策を、
総合的、計画的に推進する上での
基本となる事項が網羅され、
法律の条文に記載されるのである。

先日、読売新聞にて、
がんにどのように臨むべきか、
的確に書かれた記事があったので、
それをここにまとめた。
国立がんセンター総長 垣添忠生氏の
記事である。

<がん死の現状>
がんの診断:年間約60万人(世界で年間1000万人)
がん死:年間32万人(世界で年間600万人)
行政検診の5つのがんで亡くなる人:年間16万人
(胃がん、子宮頸がん、乳がん、肺がん、大腸がん)

<がん対策基本法でいうがん対策の担い手>
*がん対策推進協議会(⇒厚生労働大臣が意見を聞く)
委員:がん医療従事者、学識経験者だけでなく
患者、家族、遺族の代表も加わる。
*がん対策推進の責務
国、地方公共団体、医療保険者、国民、医師らに
おのおのの責務がある
*国民の責務
第六条
「国民は、禁煙、食生活、運動
その他の生活習慣が健康に及ぼす影響など
がんに関する正しい知識を持ち、
がんの予防に必要な注意を
払うよう努めるとともに、
必要に応じ、
がん検診を受けるよう
努めなければならない」



<がん対策基本法の中でのがん対策>
①予防策
*たばこ対策
*食生活の改善

②感染症対策
*C型肝炎ウイルスの制御
*ヘリコバクター・ピロリ菌の制御

③がん検診による早期発見
特に、行政検診の5つのがんにおいて、がん検診をする
(胃がん、子宮頸がん、乳がん、肺がん、大腸がん)

④がん医療の均てん化
(日本中どこでも一定レベル以上のがん医療が受けられる)

⑤がん医療の均てん化のための人材育成

⑥緩和医療の充実

⑦難治がん対策


(これは、必要であるが、今回法律に入らなかった事項:
⑧「がん登録」によるがんの実態把握)


<がん検診について>
がん検診を実施することによって、
がん死を減らすためには、
「対象人口の70%以上が数年に一度は検診をうける」必要がある。

がん検診により、
がんを早期にあるいは適時に発見し、
早期にがん治療を行うことが、
がんによる死を減少させる
最も効果的な方法である。

しかし、現状は、
現状1:5つのがん
行政検診の対象とされている
5つのがんの平均検診受診率は、17%
(受診率の計算法がばらばら、
職場検診や個人のドック検診の
実態が入っていないので、これは参考値)

現状2:乳がん
2年に一度マンモグラフィーによる
乳がん検診を受けた人
米国:80%以上
日本:年間5%足らず

現状3:市町村財政事情が悪い
がん検診の受診率の抜本的な向上、
質の高い検診を実践するための精度管理の向上、
これらを望むのは期待薄

<米国>
1971年国家がん法成立(ニクソン大統領)
たばこ対策、食生活の改善、検診の充実、
がん医療の進歩などの努力により、
90年代後半からがん死の減少。

米国が30年かけて実現してきたことを、
日本は後発国の利点を生かし、
10年で実現を目指したいと垣添氏はいう。

**********************
以下は、小坂の意見、考え。


<中央区の現状>(平成17年度、中央区政年鑑より)
①胃がん検診
対象:35歳以上の区民
実施人員:9566人

②子宮頚部および体部がん検診
対象:20歳以上で今年度誕生日に達して、
偶数才になる女性区民
実施人員:2868人

③肺がん検診
対象:40歳以上の区民
実施人員:
レントゲン撮影15220人
喀痰細胞診322人

④大腸がん検診 
対象:40歳以上の区民
実施人員:13494人

⑤乳がん検診
対象:40歳以上の女性区民を対象に隔年
(40歳以上50歳未満の対象者にはマンモグラフィ検査も)
実施人員:563人

⑥前立がん検診
対象:55歳以上の男性区民
実施人員:838人

行政検診の5つのがん検診以外に、
前立腺がん検診も入れている点で、
中央区のがん検診は
一歩進んでいる。
ただし、垣添氏が述べているように、
「がん検診の受診率」、
「質の高い検診を実践するための精度管理」、
の課題は、中央区にも当てはまると考えられる。

また、3/25ブログで書きましたが、
私も含め一般のひとの、
「健康になろうとする意思を高めること」、
「がん予防をしようとする意思を高めること」は、
中央区だけでなく、
どこでも問題になる大きなテーマである。

文責:小坂和輝
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コミュニケーションのいろは

2007-03-27 08:10:05 | コミュニケーション
昨日3/26、みんなの子育て広場“あすなろの木”で、
「コミュニケーションスキルアップ」セミナーを開催した。
講師は、当院保育士氏家さんと看護師藤城さん。

その講座のまとめを述べます。


*******************************
コミュニケーションの本質は、
お互いの理解を深め、感動を共にし、
人と人の心が触れ合うことにある。
ただ単に情報を伝達するものではない。

コミュニケーションがうまくいかないと、
ストレスの原因にもなりうる。
家庭や職場、ご近所づきあいも、
コミュニケーションのコツを
つかむことで、よい人間関係が築ける。

コミュニケーションを分類すると、
大きく分けて、
①言語的コミュニケーションと
②非言語的コミュニケーションに
分けられる。

①言語的コミュニケーションは、
まさに、言葉を媒介としたもの。
相手と話をすること、
言葉を直接相手に伝える場合、
直接コミュニケーションといい、
何かを介し(人、メール、ファックスなど)、
言葉を伝える場合、
間接コミュニケーションという。
今、私は、ブログ上で、
間接コミュニケーションを、
皆さんと行っていることになる。

②非言語的コミュニケーションは、
言葉以外のもの、
声、ボデイランゲージ、服装、話し方、
あらゆるものをいう。


『メラビアンの法則』というものがあり、
相手に残る印象の伝わり方、

例えば、初めての人と話をします。
その方は、その後何を
あなたの印象としてもっているでしょうか。

①話の内容そのもの(言葉そのもの)
②話しかた(声の調子):声、スピード、テンポなど
③ボデイランゲージ:身振り、手振り、表情、外見など、

その相手に残る割合は、
トータル100%とすると、
①話の内容そのものが相手に印象が残るのは、
残念ながら、たったの7%
それよりは、
②話し方が38%
そして③ボデイランゲージが55%

相手にメッセージをうまく伝えたい場合、
言葉を選ぶだけでなく、
話しかたしかり、ボデイランゲージしかり、
それらトータルに考える必要があります。


コミュニケーションを通して、
相手と信頼関係を築いていきます。
これをラポールを築くといいます。

うまくラポールを築けない人は、
どんなコミュニケーションをする、
人でしょうか。
①すぐに否定的な言葉が出る人
「でも」「しかし」
②人の話の腰を折る人
③話をいい加減に聞く人

では、ラポールを築くための
コミュニケーションのコツは、
どんなものでしょうか。
①雰囲気作りが出来る
相手との話す距離・角度、目線など、
気配りする。
②相手の話に興味を持って、
最後までしっかり聴く。
(先入観を持たず聴く)
③態度、話のペース、声の調子を
相手に合わせる。
相手にあわし方には、
主に三つの方法があります。
1)ペーシング:
相手の呼吸のペース、
話す速度にあわせる
2)ミラーリング:
相手の言ったことを繰り返す、
相手の姿勢に似た姿勢をとる
3)バックトラッキング:
相手の話をうまく要約する

私は、ここで付け加えるのであれば、
“笑顔/微笑み”である。
笑顔/微笑みは、相手を受け入れていることを
示します。

基本は、「うまく話を聴ける人」になる
ということです。

*********************

以上、「コミュニケーションのいろは」でした。
昨日の講座では、講義だけでなく、
その後、実際にペアになっていただき、
コミュニケーションの実践体験をもちました。


私も、日々、小児科外来は、
コミュニケーションの現場であります。
私自身、決して上手なコミュニケーションを
とれているわけでなく、
そのことに反省いたします。
診察室を患者さんが出る時は、
納得していただいて、
出ていただくよう、
日々努力して行きたいと考えています。

ちなみに、
私が薦めるコミュニケーションを学ぶ書物は、
『コミュニケーション力』斉藤孝著 岩波新書です。
コミュニケーションの技術で、
相手への微笑みが大切なのを
私に気づかせてくれたのは、この本でした。

文責:小坂和輝
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