ここしばらくは比較的気持ちに余裕を持って過ごせそうだ。今年は娘たちが帰ってこないとわかって、あれこれ手をつけるのを先延ばししてしまった。彼らを迎える準備をしながら片づけも意識していたということになる。その後回しにしたことを、この時期にボチボチ進めておこうかと思っている、
朝から青空が広がって日差しがあったかい。動きやすいので半日だけ動いて、明日にすることにした。明日できることは明日すればいい。こんなことを、どこかで誰かが言っていたような記憶がある。
家にじっとしているのはあまりにもったいない上天気。以前、新聞の書評で見た山田太一さんの『夕暮れの時間に』という本を手にとってみたいと思って、ウォーキングついでに書店を回ることにした。
1軒目は置いてない。見当たらなくて若い女店員に尋ねると、入荷していないと言った。2軒目も同じで、3軒目でもまた聞くはめになる。
「夕暮れの時間に、っていう本ありませんか」
「夕暮れの…」「夕暮れの…」と繰り返すうちには「黄昏の時間に」なりそうで、何やら「夕暮れ」と口にするのが気恥ずかしい思いがしてくるからおかしい。大きな書店でもないから棚になければないのだ。正直なところあまり尋ねたくはない。今度、大型書店で覗いてみることにしよう。久しぶりに8000歩台を歩いていた。黄昏にはまだ早い。
81歳を迎えられた山田さんだが、70代で執筆されたエッセーを集めたもの。小さな営みを慈しむ氏の人間観、人生観に触れてみたい。