
高校時代の記憶がいかに曖昧なものになっていることか。
古典の授業を通じて人生の師ともいえる存在になった教科担任との3年間は別格のものとしてしまわれている。が、毎年クラス替えがあって、最後の1年間をともにした「クラス」にも懐かしさがなく、これといって思い出が浮かんでこない。受験勉強最優先で学校を休んでしまうこともあり、適当に受けている授業もあったりした。気持ちが入らない学校生活を送ってしまったせいだろうか…。
これまでに一度だけあった同窓会は、父が亡くなった直後で欠席した。幹事さんからは写真が送られてきた。そう、またの機会にはぜひ、という言葉があった…。数学の先生だった担任が真ん中で笑っていた。校長になったと知った。あのときの写真、あれはどこにいった…。
今、卒業生名簿の作成が行われているようで、関連事項の確認の文書が何度か送られてくる。なんら変更もないままに返信したが、在籍したクラスでは「住所不明者」として26人の名があり、情報提供を呼び掛けている。大半が旧姓のままに女性だ。ということは、前回の名簿作成時にも返信していないのだろうか。
嫁いで地元を離れ、その地で根を張ることを考えているうちに交流はなくなった。名簿は購入していないし、今回もするつもりはない。ますますわからずじまいだが、これだけ長い間かかわりがなかったのだから、いまさらという思いもある。ただ、一人ひとり名前を見れば顔が浮かんではくる。どこでどうしているのかしら…。