京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

春立ちぬ

2017年02月04日 | 日々の暮らしの中で

        春立ちぬ逆立ちでもしてみるか     前川弘明

明るい日差しに包まれて、次第に気温も上がってきた。春立ちぬ。そこかしこに春の気配を感じる今日、春の証を探ってみれば、積もった枯葉の下からのぞく緑の葉っぱ、紫陽花には固く膨らんだ大きな芽吹きもあるし、南の方は霞んで見えた。
14℃の電光表示を見かけたが、春は名のみ。そろそろかなあ~とその足音に胸焦がすと遠ざかってしまう。じらされて、それでも待つのはいいものだ。季節は必ず移り行く。

たまった資料などを整理していたら、山本兼一の『夢をまことに』の舞台風景を紹介した冊子が出てきた。
京都新聞に連載された作品だった。近江国、姉川のほとりにある国友村(現在の長浜市)の鉄砲鍛冶の家に生まれた国友一寛斎が、飛行船や潜水艇まで作ろうとし、日本で初めて反射望遠鏡を完成させる話が展開される。からくり仕掛けが好きでしようがなく、好奇心旺盛な一寛斎と物づくりに魂を込める国友の職人たちの、「夢をまことに」と手繰り寄せる日々…。

   努力が報われる
   ……とは限らない
   けれど
   努力をしているそのときこそ
   しあわせ で たのしい とき
   《夢には力がある。強い力がある》
   至幸のときは その力の中にある

冊子にはこんな言葉が並んでいた。
私自身にも、ちょっとしたとっかかりがつかめて、救われた思いで一息ついたことがある。
《夢には力がある。強い力がある》。希望があります。よい「春」となりますように。
コメント (2)
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