京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

わがまま者が今日も許されて

2024年12月15日 | こんな本も読んでみた
もうあと半月…。あれこれの算段で頭の中がぐるぐる回ってしまうこの頃なのだけど、反面(もうしばし!)とその思いを押しやっている。
この時期は私に中途半端なゆとりを持たせてくれていて、ましてや今日は日曜日。
いつだって時間は持ち合わせているようでいて、それでも「今日はほんとうの日曜日」なのだ、特別感ありの。だから一日家に居て、何かをしようというのでもなく過ごした。

一年の終りも近くなって思う。わがままものが今日も許されて生きている、と。


読んだ本の記録をノートに残した。
ここには「こんな本も読んでみた」と残しておこう。

 

吉村昭の『雪の花』を原作とした映画が公開されるのを知った。
日本に初めて天然痘が入ったのは聖武天皇の天平7年(735)だと言われている。治療法がなく、死病として恐れられていた。
4年前の夏、息も詰まる思いで『火定』(澤田瞳子)を読んだことを思い出す。そのあと『雪の花』を知ったのだが、漢方を学んだ福井藩の町医・笠原良作の天然痘との闘いの生涯が描かれている。再読し終えたところで、「種痘伝来記」が収められた同氏の『歴史の影絵』を手に入れたのだった。三条にあるブで。

 

立花隆さん。「ひたすらよりよく知ることだけを求めて人生の大半を過ごしてきた」と訃報後の記事に書かれていた。
「知の巨人」の膨大な蔵書をどうされたのだろうと、NHKのドキュメンタリー番組をみていたのだけれど、どうやら後半居眠りしてしまったようで、気づいたら終わっていた。

若いときは本当に面白いと思って文学書に熱中していたが、今は文学書を読んでも面白いと感じることがほとんどない、と書いている。
出版界では読者離れをおこしているが、読者が離れていったというよりは、むしろ今の人たちをとらえるような作品を現代文学が生んでいないということが一番根本的な原因であると思います、と。(そうかしらねぇ、文学を読まないなんて人は…と言いたくもなるが)
あちこちのページを拾って未だ読みつつあるところ。

「老人」という言葉をタイトルに付けるのが気に入らないけれど、妻・音羽信子さんを亡くされて一人になった夜、書棚から手当たり次第に本を抜き出す。
88歳を襲うすさまじい孤独から救い出してくれるのが、一冊の本だったそうだ。新しい本もいい。古い本には生きた時代がよみがえる、と。
それぞれにそれぞれの文学があるのだ。そして、読み浸った時間がそこにある。

「底惚れ」(青山文平)も読み終えている。


葉のぎざぎざも年数が経って丸くなると読んだことがあったが、真偽のほどは知らない。
これは冬の木、「柊」の花だろう。

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