京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

続くように終わる

2022年05月29日 | こんな本も読んでみた
お参りごともなく、私的な用事もない夏日となった一日。家のなかが一番涼しく過ごせそうで、なんとも気ままな時間が生まれた。

このところ『言葉の園のお菓子番 孤独な月』に『サンカの民と被差別の世界』と『木綿以前の事』(柳田国男)が加わって、それぞれをボチボチ読み進めていた。
『言葉の園の…』で連句会をのぞかせてもらっているとき、縁あって『木綿以前の事』に導かれた。1982年発行で紙は茶っぽく変色、行間狭く、文字は極めて小さい。が、かつての自分を思い出す愛着がある。


もう過去のもの…と思う寂しさがあったが、読みだせば、引かれた線やメモのあと、狭い行間からも、かつて心にとどめた言葉や学びが思い起こされる。
若い頃よりむしろ実感として捉えられ、理解もする。長い日々の積み重ねに少々の知識も身につけ、曲がりなりにも働きかけてくるものを味わえる厚みが自身に生まれたせいだと思う。

読み終わりは〈終わり〉ではなく、次へと続く始まりともなる。その先の扉が開かれ、世界を広げる。読書に限ることではない。
『言葉の園のお菓子番』を読み終えたが、文中、〈連句での挙句は「穏やかに、続くように終わる」〉という捌きの言葉があった。

〈続くように終わる〉。
余韻は作品に隠された風情によって心が動かされる…という冠句の選者の言葉を記憶している。覚えとこっと。
 
 〈人々の心を照らし月静か〉


二度目のラグビー観戦に大喜び。こんな体験の積み重ねが何かの折の選択肢につながればな…。
コメント (2)
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