京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

秋だからちょっと夜ふかし

2024年10月30日 | 日々の暮らしの中で
「伝記は、ひとの人生の読み方であり、書いた人による或る人の生き方をどう読んだかという報告の書である」と長田弘氏は書かれていた(『本にかたらせよ』)。


明恵上人に少し近づきたいと思うとき、敷居の高い仏教書や解説本ではなく、また伝記でもなく、梓澤要さんの小説『あかあかや明恵』を選んだ。
小説だから当然わからない部分は虚構あり脚色ありだが、歴史上の人物を踏み込んで梓澤明恵として描いてみせてくれるはず。
私の感受性に働きかけてくる言葉を味わうことになる。どう味わうか、その読みの姿勢は問われるのだろうけど。


2024年度の読書週間の標語は、「この一行に逢いにきた」だそうな。
「読むことは言葉を手渡されること」。
読んだあと胸に残る一節はどんな言葉だろうか。

「その言葉に魅せられてゆく。その言葉が自分の中に残す感覚の充実を読書に求める」
長田さんの言葉に重なるのは、今、乙川勇三郎作品。まさに、面白いでは言い足りない。心を惹きつける、でも不十分。心を奪う、没頭させる、…面白くてたまらない。

 

『立秋』と『屋烏』の出番もやって来た。まだまだあるわ、買い置いてある本が。
「金があったら本を買っておけ。どんな本も3年たったら役に立つ」。尾崎紅葉は弟子に説いたという。

本を読むのは、旅への切符を手にするようなものだ、と『モンテレッジオ小さな村の旅する本屋の物語』にあった。
〈秋だからちょっと夜ふかし あと1ページ〉1994年

明日から11/4まで秋の古本まつりが知恩寺境内で開催される。でも行かないと決めた。

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