京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

蝗の顔の見ゆるかな

2023年08月18日 | 日々の暮らしの中で
嵐が過ぎて、なぎ倒された花茎を起こしてやっては支柱を補充などして、自分で自分を笑っている。種が取れるまでもう少し頑張ってもらわなくちゃ、との思いだ。

水嵩の増した賀茂川の流れをぼんやり眺め、周辺を歩いてみると稲も順調に生育していた。
渡る風が心地よい。
稲の花が咲き出そうとしている。しゃがんで目を凝らすと、お米のにおい、などしてやしないのだろうが、鼻いっぱいにそれらしきを感じさせるにおいがあふれる。

 〈先へ先へ行くや螽の草うつり〉 樗堂
2匹ほどが勢いよく飛び立って移動した。なにかと思えば、このお方。


立ち止まり、顔を近づけると、その気配を感じて右へ、左へとわずかに動く。
身を隠そうとでもいうのかしら。
 
 かくれんぼ「蝗の顔の見ゆるかな」


見えてまっせ! 

イナゴだろう、か。螽、蝗、稲子とも書く。

空が真っ黒に塗りつぶされ、日が陰った。と、雨のように空から降って来るイナゴ。渡りイナゴと言って緑色ではなく茶褐色で、足が短く、翅が長い。
イナゴの大群に襲われて、草1本、葉っぱ1枚残らぬ一面枯れた荒れ地になった八丈島での描写を、『無暁の鈴』(西條奈加)で気持ち悪く読んだのを思いだした。

貴重なたんぱく源だったとか。フライパンで炒めた話を坪内稔典氏が書いておられたが、私はいただいた佃煮を食べられなかったことがある。


クサギの花が咲いていた。きれいだなと思う花。青い実が楽しめる。




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6 コメント

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おはようございます (続々強子の部屋)
2023-08-19 07:12:31
稲の穂とイナゴ懐かしく見せていただきました。
有難うござます。
稲の穂が出る頃愛犬と散歩して、炊きたてのご飯の
匂いがしたのを懐かしく思い出しました。
その後何故か私は稲アレルギーになってしまい、
稲穂が出る頃、くしゃみ鼻水に悩まされています。
今年はやっと落ち着きました。
でも田んぼは好きです。
車で田んぼを通るとき、今年もお米が沢山穫れますよう祈ります。
成田山の参道でイナゴの佃煮を売っています。
友人の好物でした。
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炊きたてのご飯 強子さん (kei)
2023-08-19 11:08:48
こんにちは。
オタマジャクシや小さなアオガエルを楽しみにわざわざ出向いてみる場所なのですが、
みごとに田んぼが広がります。
「炊きたてのご飯の匂い」、そうですね、そのような感じで鼻から胸へ、いっぱいになりました。
風がそよぎわたる光景も、見るからに涼し気ですね。たくさんの実りがあることを祈りたいです。

成田山へは、弟の運転で家族総出で一度お参りしましたことがありました。

お盆の準備には丁寧にお飾りをされて、面影とともにお過ごしなのですね。
私のところでは、お墓参りに来られた方が立ち寄ってくださいますが、
義母が亡くなり、昔の懐かしい話にも限りがあります。

厳しい残暑が続きますが、どうぞお身体ご自愛なさってお過ごしくださいませ。
返信する
イナゴ (うばゆり3)
2023-08-19 13:49:09
こんにちは。

稲穂がそよいでますね~~
イナゴには2種類あるのは見分けられますが、つくだ煮は!ぎゃ~~です(;^_^A

こちらは雨が降らないので白菜も大根も芽が出ません。朝夕水やりしましても焼け石に水状態です。

でも、マイルームわきを流れる水路(45センチ幅)には水が音を立てて流れてます。
水を蓄えてくれる山の有難さを思います。

お盆が過ぎればまた、お彼岸でお忙しいのでしょうね・・・
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山の有難さ ゆりさん (kei)
2023-08-19 16:54:13
こんにちは。
田畑、山野の緑を舐めるように食い荒らし、粟一粒さえ収穫はないとなれば、
繰り返し被害に合う苦しみは並大抵ではなかったでしょうね。

山の保水力、素晴らしいめぐみとなって潤してくれてますね。
流した涙の数パーセントは蒸発して雲になり、80年後に雨となって落ちてくるとか。
雪となるには100年かかるそうです。
もうずいぶん前ですが、金子みすゞ記念館の館長さんが、
ある地球科学者に聞かれた話だと紹介してくださいました。
全て循環しているのですね。

よいお盆をお過ごしになられましたでしょうね。
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難しい文字 (Rei)
2023-08-19 21:08:11
稲の実るころに来る台風、意地悪ですね
蝗、いなごは読めましたが
螽>苦労して調べました。キリギリスですね。
以前「漢検」受験考えたことありますが
今となっては「一場夢」です

蝗の大量発生から、飢饉になった小説読みました
題名忘れましたが、いなごも大群となると
恐怖ですね。
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螽 Reiさん (kei)
2023-08-19 21:53:22
なるほど、キリギリスは「螽斯」と書くのですね。
漢字源で調べますと「シユウ いなご」とありました。
中国語と漢字は緊密ですから、学ぶ機会は多かったことでしょうね。
いずれにしても大量には恐ろしいことです。
不気味です。

「味甘美、小蝦のごとし」
江戸時代の百科事典『和漢三才図絵』に、こうあるそうですよ。

収穫や実りの時期を前にして台風が来るのですから
生産者さんたちには心配も苦労も多いことですよね。
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