京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

 天空の城壁

2012年11月27日 | こんなところ訪ねて
竹田城は播磨・丹波・但馬の交通上の要地に築城された。現在の兵庫県朝来市に位置する。
5世紀半ば、山名氏と赤松氏の対立が深刻化していた時、赤松氏に対する山名氏方の最前線基地の一つとして築城された。以後、太田垣氏が7代にわたり城主となるが、歴史の変転を経て、1600年に廃城となった。放置されたまま朽ちたそうだ。

 

天守台の標高は353.7m、この高さだと風当たりも強く、天守閣は2層ではなかったかと説明された。天守台を中央に置く石垣の城郭、その規模は南北約400m、東西約100m に及び、防御性を高めた構造が随所に残されたまま、山上に威容を誇っている。素晴らしい日本の文化の名残りだと思えてくる。規模こそ大幅に違うが、「日本のマチュピチュ」と称されるのもうなずける天空の城の光景。


晴れていたら眼下に広がる城下の様子もくっきりと観ることができ、木々の色づきの名残さえ趣を添えてくれたに違いないだろう。ところが今回は、大方が雲の中であった。雲が切れたわずかな時間に、わずかに覗けた城下の街並み。そしてそれも、再び真っ白な世界に閉じ込められてしまうものだった。見事な石垣の遺構に歴史のこもごもを重ねるとき、雨に煙った世界の幻想感がより情趣を増したのだと喜びたい。すべてがクリアーにされないことの魅力は確かにあるはずだ。


26日午前4時、雨は音を立てて降っていた。「雨か―」と思わず口をついて出た一言。予定より少し早目に起き出してしまった。リュックの中身はカッパ、リュックカバー、ネックウォーマー、手袋、タオルに予備の靴下…。そうそう、アドバイスを受けて気温調節用にベストを含めた。前日からの雨対策は万全だった。昼過ぎまで降り続いたが、上がる間もあって土砂降りでもなく、足元が濡れないようにカッパを着用して歩いた。やがては傘が杖代わりにもなった。

総勢37人の参加者だったが、昨年は年間10万人、今年はすでに20万人を超える観光客だそうな。この日も、他のグループとごちゃ混ぜになって、よそさんのグループから参加してくる一団もいて、山頂は大賑わいでした。

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8 コメント

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日本のマチュピチュ! (yattaro-)
2012-11-28 07:30:23
雨にけぶる幻想の竹田城。
白い雲海の中を黙々と、遠い歴史に夢を馳せて一歩一歩。
山上に誇った城郭の石垣群。353.7mから見下ろす城下町の構成など。
快晴のもとでは如何ばかりか、とは思いますが、この一幅の墨絵の中に身を置く幻想感には浸れなかったのではないでしょうか。
雨対策、寒さ対策、準備は大変行程も難儀をされたことでしょう。
でもその分、滅多に見られない自然の生の姿を目にされたのではないか・・・と。
雨には雨の風情が、雨にしか見られない景色が妬き付いたことでしょう。
大きな足跡を残されました。是非またこれからも素敵なチャレンジを。
居ながらにして、このような素敵な臨場感を味あわせて頂く贅沢を享受。謝!!
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まさに~ (ryo)
2012-11-28 12:42:57
まさに天空の城ですね。
幻想的で、まるで日本画を見る感じです。
雨の中、お疲れさまでしたが、途中から傘は杖の
かわりになったようで..。
頂上は満員だったのですか?
でも、まさに臨場感溢れる場に立たれましたね。
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またどこかへ、気持ちは膨らみます、yattaro-さん (kei)
2012-11-28 16:52:06
晴れた日に周囲を眺め渡せる爽快感?はまたそれとしまして、
雨の日も雪の日もあった竹田城で、こうした光景を体験できたこともまた特典ですね。
雨が少しも苦にならず、山頂、天守への行程も、鞍馬を体験なされたyattaro-さんには
どっこいどっこいのものではないかと思います。
思っていたよりずっと楽チンでした。
石の組み方、敵を防ぐ構造など随分説明を受けましたが、イマイチあやふやです。
…つまり、忘れました~。
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頂上は満員~、ryoさん (kei)
2012-11-28 17:11:46
50分ぐらいなら歩けるだろうとは最初から思っていましたが、
舗装道路が多く、城跡付近はぬかるんだ道で段々もあって注意を要しましたが、全般に楽なコースでした。
何も見えない真っ白な世界が、ふっと雲が切れて城下が望めます。
盆地に暮らしていますと雲海のような光景は目にすることもなく、楽しませてもらいました。
天守付近ではいくつかのツアー団体が一緒になりましたが、どこも大所帯ですので大変でした。
見事な石垣、城壁でした。

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雨に煙る城址 (Rei)
2012-11-28 17:37:05
青空に石垣が・・・これも美しいでしょうが、
墨絵のように雨の中の竹田城のほうが素晴らしいかしれません。
以前、城巡りの講座に参加しましたが、石垣だけが残っているほうが風情あります。
ぴかぴかのお城復元よりは苔むした石垣に惹かれます。
写真拝見しても人気あることが肯けます。
どの旅行社も競ってツアー組んでいますね。
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石垣の風情、Reiさん (kei)
2012-11-28 18:32:22
以前Reiさんから石垣だけが残る風情の良さをお聞きしたこと思い出します。

雨に煙ってうっすら黒っぽくもまた野趣な、時代を思わせる威容な姿で良い感じでした。
雲の中に姿を現わした山は、竹田城の姫が逃げ延びた所だとか。
石組にも5通りあると説明してもらったのですが、忘れてしまいました。
近江坂本の「穴太積み」だけは知っております。ここにもそれが。
「なにこれは!?」、すれ違う人が驚くほどの団体です。
それが天守台付近でかち合って、一時はラッシュ状態でした。
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霧の中の城址 (スイスイ スー)
2012-11-30 20:37:19
この身では行けない竹田城址をkeiさんの文と写真で味わいました。霧の立ち込める城址と名残の紅葉の風景、なんとロマンに満ち、素晴らしい時を過ごされたことでしょう。つくづく行けるときに行き、見られる時に見る。チャンスを逃さないようにと自戒しました。有難うございます。
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チャンス、スイスイ ス―さん (kei)
2012-11-30 23:00:58
こんばんは、いかがお過ごしでしょう。
熊野を歩いた思い出がとても良い形で残りました。
歩けるんと違う? チャンスだよって、そんな声が聞こえるのです(笑)
どこでもいつでもとはいきませんが、新奇なものを追い求める流行を追っているのでしょうか。
「あなたへ」で、健さんが訪れていました。
その時、「日本のマチュピチュ」ってここ?っと思ったものでした。
その場所に立ったのでしょうか
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