Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

マレー料理食べてチベットに思いをはせる

2015-07-23 18:32:14 | 機内食・映画・美術展
所要のついでに渋谷に行った。

さて、お昼は何を食べようかと考えていると、偶然目についたのが珍しいマレーシア料理、「マレーアジアンクイジーン」
  
食べたいものがメニューにあったのでエレベーターで2階に上がってみると、入口にこそ大きな国旗があるが、店内はなかなかおしゃれな造りでエスニック色はない。

久しぶりに食べたかったのはナシ・レマ。
 ご飯の周りにチキンカレー、揚げ卵、イカンビリスに揚げせんべい。
チキンカレーは塩が強めだが辛さはサンバルで調節できるようになっているので食べやすく、おかずを混ぜながら食べればご飯がすすむ、すすむ。
ご飯がココナッツ風味でないのは残念だけれど、スープにサラダ、飲み物にデザートも付いて1000円ならランチとして十分。
シェフと思しき人は中国語を話していたのでおそらく中国系マレーシア人だろう。
メニューも豊富そうなので、今度は夜に来てみたい。


お腹を落ち着かせたところで次に入ったのはこの店からすぐ近くの映画館、イメージフォーラム。

 「ルンタ」 

我がHNでもある「ルンタ」とはチベット好きならご存じの通り、天を駆けて仏の教えを広める「風の馬」のこと。
この名を冠した「ルンタ・プロジェクト」というチベット難民支援のNGOがあって、代表はダラムサラ在住の中原一博氏。
この映画は現在チベットで多く発生している焼身自殺に心を痛める中原さんに密着してチベット人の苦悩を伝えている。

チベット人の焼身自殺については以前から「なぜ」という気持ちが強かった。
そうしたところで厚顔無恥な中国政府が心を動かすはずもなく、何も変わらない無駄死になのではないかと。

チベット人には幸運なことにダライ・ラマという強力なカリスマ性を持った絶対的指導者がいる。
その人の戒めもあって、チベットでは同じように抑圧されたウイグルとは違い、暴動やテロ行為というのはほとんど起こらない。
彼らが中国政府の横暴に対して起こすのは抗議のデモだけなのだが、それに参加しただけでも逮捕され、拷問を受けて何年も投獄される。
となれば抗議の姿勢を表すには焼身自殺しかない、となってしまうのはこの映画を見てようやく理解できた。決してそれを容認することはできないけれど。

チベット本土にはこれまで4回行って、いずれも単なるツアーだけれど、その度にいろいろ耳にした。
ダラムサラに行って教育を受けて来た者は公職にはつけないこと、お寺にお参りした大学生は学校から追放されること、寺の僧侶の中にも中国政府のスパイがいること、小学校でもチベット語の授業がなくなりつつあること、などなど。
ラサなどは行く度に漢人の比率が増えてチベット人が少数派になりつつあるのが明らかにわかるし、地方に行けばどこから連れて来たのか、子供のような人民解放軍兵士であふれている。
道はどんどん舗装されて移動は楽になって行くけれど、遊牧をやめて安っぽい「模範村」と称する定住住宅に住むことをチベット人本人たちは望んでいるのか。
一介の旅行者にさえこれだけ見えるのだから、実際にはどれだけの横暴が行われていることか。

映画の前半はインドに逃れてきたチベット人たちへのインタビューだが、後半では中原氏とカメラはチベット本土のアムドへ行く。
チベット難民の救済活動をしている人がアムドに入れたのが驚きだが、「これが最後になるかもしれない」との中原氏の言葉はこの映画で彼の活動が知られてしまう、という意味だろうか。

アムドの景色は美しく、チベット人たちはやっぱり正直だ、自分がその地を訪れた時と同じように。
この人たちがどうか自分たちらしさを維持できますようにと祈らずにはいられない。


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コメント
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