4月16日 続き
鶴岡駅前からはタクシーで10分、今夜の宿へ。
Suiden Terrasseは名前の通り水田に囲まれた中に建つ坂 茂設計のスタイリッシュなホテル。
実は年末の別府のカフェにあった雑誌でこのホテルの写真を見て、すぐに来ようと決めたのだ。
1階のエントランスを入るとすぐに階段がフロントの前まで伸びていて、チェックインをすませたら本の並ぶライブラリーエリアを抜け、渡り廊下を通って宿泊棟へ。
宿泊棟はまるでコンテナを重ねたようなそっけない外観だが
意外に複雑な内廊下を歩いて行くと思いがけない所に坪庭のようなスペースがある。
我々に与えられた部屋は一番奥にあった。
コンパクトな部屋だがすっきりと機能的で奥に洗面、トイレ、シャワー。
窓の外にはまだ田植えの始まらない水田が広がり、首を延ばすと鳥海山も見える。
ただ予想外だったのはここが鶴岡サイエンスパークという工業団地の中にあったこと。だから確かに水田に囲まれてはいるが人家や店も見え、羽越本線の列車が通るのも見えるのだ。
夕食は本館2階のレストランで。
月山が正面に見える窓際の席で自分は「さくらんぼロワイヤル」なるノンアルコールカクテル、友人は月山ワインの飲み比べセットで乾杯。ワインも味見させてもらったがどれもすっきりしておいしい。
食事は白い2段重が運ばれてきて
1段には魚のカルパッチョやキッシュ、山菜のベニエ(=天ぷら)などが入り、もう1段はたっぷりのサラダ。
もう一つ後から運ばれてきたお重にはローストビーフとポーク、それにパスタが入り、デザートはチョコレートタルト。
少なめかなと思ったがお肉まで食べればお腹いっぱい、味もとても良くてこれは予想以上。
食事が終わる頃には外もすっかり暗くなって
間接照明のロビーが一段とかっこいい。
ライブラリーの裏側にあるショップの商品もおしゃれだ。
建物を外からも眺めてみると
三日月も出て絵になること。周囲に水が張られていればさらに素敵に見える所だが、まだちょっと早くて準備中だったようだ。
ところで建物の一番端にあるドームはスパ棟。
源泉かけ流しの温泉とのことなので行ってみると、一番端の部屋から本館を通って別の宿泊棟に入って1階に降りて、と遠くてなかなか大変。
女性用露天は内湯とは離れていて、しかも工事のため朝は入れないというのでまずはそちらへ。
洗い場は面白い造り、お風呂は細長くてカーブしているが、外は真っ暗でつまらないのでここは覗いただけでパス。
次に内湯へ行ってみると
写真はHPから
ドームの中央にあるこちらの浴室も浴槽が細長く弧を描いている。
ナトリウム・カルシウムー硫酸塩・塩化物温泉のお湯は源泉62℃とのことで湯口はかなり熱く、細長い浴槽を適温を求めて移動する。癖のないお湯はかけ流しのはずだがちょっと塩素のにおいがして、これはちょっとがっかり。
お風呂から上がって部屋に戻ろうとするとまたライブラリーの表示が見えたので行ってみる。
すると宿泊棟1階にあるこちらは何部屋かに渡ってそれぞれテーマの異なる本が集められていて
設計者、坂さん得意の紙管製の椅子などもあって、ここは落ち着いていい感じだ。
翌朝はいつもなら朝風呂に行くところだが遠いのでパスして、レストランに朝食へ。
朝はカウンターでお盆を受け取る方式。
きれいな器に野菜の多いメニュー。粕漬の魚もとてもおいしいのだが、汁物はこの器なのに言わないとスプーンをくれないし、御飯の友が少ないのにおいしい納豆はお替りをもらえないのが残念。
食後はコーヒーを持ってまた1階のライブラリーへ。
目の前に本館も見えるここが一番好きかも。
とゆっくりさせてもらい、10時にタクシーを呼んでチェックアウト。
坂さんの建物を満喫したが、ホテルとしてはいささかちぐはぐな所が目に付いた。
スタイリッシュな建物はリゾート風だが立地からはビジネス客を期待しているようだし、複雑な動線はお風呂に行くのにロビーを通らざるを得ないが館内着は浴衣で、これは作務衣のようなものにした方が良さそう。
ハードにソフトが追い付いていない感じだろうか。
いつも行く鄙びた旅館とは違って若いカップルの多いこちらのホテル、これからうまく進化してほしい。
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