久~しぶりの映画館で日比谷へ。
数えてみたらなんと昨年の4月に岩波に行って以来だった。
こんなだから岩波ホールもなくなっちゃうんだよなあ。
本日の一本目は監督と出演者、それにのぞき見根性で選んだこちら。
「ハウス・オブ・グッチ」 House of Gucci
グッチ家の御曹司が嫁に殺された有名な事件、その首謀者パトリツィアは懲役29年を宣告されながら18年で出所していると知って興味を持ったのだ。
映画はパトリツィアとグッチ一族との確執を時系列でストレートに描いているのでわかりやすい。
リドリー・スコットに期待した映像的な華麗さは今回残念ながらないが、159分と長い映画が退屈せずに見られたのは豪華な俳優陣のおかげだろう。
主役のレディーガガは演技がうまいとまではいかないが、強烈な上昇志向などタイプとしてぴったり。
対する御曹司役のアダム・ドライバー、受け身で一見地味な役柄だが純情なボンボンが猛妻の言いなりになって振り回され、やっとその呪縛から逃れても己の無能さに気が付かないお人よしを説得力満点で演じている。
俗物的なアルドを演じたアル・パチーノ、そのバカ息子役のジャレット・レトはかなり誇張した演技ながらさすがのうまさ。
しかし一番好きなのはやっぱりジェレミー・アイアンズ。エレガントでいながら冷酷な父親、素敵すぎる。
面白く見られた映画だったが、不満はパトリツィアが夫の殺害にまで至る動機がはっきりしないこと。
当然金銭がらみの動機だっただろうと思うのだが、共犯者になった占い師の役割が中途半端でよくわからない。実行犯との橋渡しにしてはその前の登場場面が思わせぶりすぎて、その割に効果がないような。
ちなみに出所したパトリツィア、グッチ家から事件前からの契約で多額の年金を受け取り、今回の映画ではガガから挨拶がないと怒っているとか。絶対に何の反省もしてないな。
いつもながら存命中の人物でも容赦なく実名でネタにしてしまう欧米の映画界ってすごい。
日比谷で映画を見た後はシャンテのカレー屋に行ってしまうことが多いのだけれど、毎度同じではつまらない、と今回はミッドタウンの中のチーズ屋へ。
こちら店頭でモッツァレラ、ブラータ、リコッタを作っていて、注文したストラッチャテッラもリコッタも甘みがあっておいしい。半分づつの注文ができるのもポイント高し。
ついピザに走ってしまったのはイタリアの話を見ていたせいだろうか。
その割に食べるシーンがほとんどなかったのは監督がイギリス人だったからか。
お昼を食べたらまた映画館に戻って二本目。
「クライ・マッチョ」 Cry Macho
元ロデオの名選手だった主人公、事故で背骨を折って引退、しがらみから元雇い主の息子をメキシコからアメリカに連れてくる仕事を引き受ける。
今年91歳になるクリント・イーストウッド、さすがに背中が丸くなり、歩き方も心もとなくて、いくらなんでもこの役には年を取りすぎていると思う。
動いているだけでもひやひやするのだが、最初の馬の疾走シーンで「ブロンコ・ビリー」を思い出し、背骨の事故は「ミリオンダラー・ベイビー」、若者とのやり取りは「グラン・トリノ」を思わせる。
メキシコからの道中で「センチメンタル・アドベンチャー」のようなロードムービーになるのかと思ったら途中の田舎町で引っかかってしまって、年増美女との関係は「マディソン郡の橋」っぽい。
しかし最初は心配だったクリントが見ているうちにどんどん魅力的になって、この映画もなんてかわいい映画だろう、と幸せになった。
上映館は小さなスクリーンだったけれど、平日の昼間でも男性比率の高いお客さんでかなりいっぱい。グッチより客の入りは良かった。
みんなやっぱりクリントが好きなんだね。
映画館を出て銀座を歩けばグッチの路面店があり
三越の壁面もグッチだった。
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