5月18日 続き
サン・セバスチャン・デ・ラ・ゴメラの街を離れたバスはすぐに山を登って行く。
街を振り返れば谷に沿って家々が立ち並んでいるのがよくわかり、山の斜面は段々畑になっている。
島の東岸にあるサン・セバスチャン・デ・ラ・ゴメラから北岸にあるエルミグアと言う町を見下ろす展望台へ。
ここにある説明書きによるとこの谷は20世紀の初め、気候学者たちによって「世界で一番の気候」と認定されたとか。貿易風の影響で一年中温度や湿度が安定しているのだそうだ。
海の向こうにはテネリフェ島が見える。
その少し先のレストランで昼食。
クレソンのスープに続いて出された山羊肉のシチューが柔らかく、臭みも全くなくて、今回の旅で一番のおいしさ。
デザートはゴフィオのムースの上にたっぷりの生クリーム、ここにかかっているのもゴフィオ。
ゴフィオとはトウモロコシや麦類を粉にしたもので見た目もなめた感じもきな粉にそっくり。
テーブルの上にも出されていたが、これをスープに入れたりもする。
その左は山羊のチーズにパプリカなどを入れたスプレッド。これもとてもおいしくて、ツーリスト向けのレストランではあろうが侮れないお味だった。
さらに食後にはウェイトレスさんがシルボ・ゴメーラの実演をしてくれた。
シルボとは深い谷の多いこの島で谷越しに連絡を取るために発達した口笛言語。音が母音、子音に対応しているのでカタカナのようにどんな言葉でも表すことができるとのこと。日本語の「ありがとう」などを吹いてくれたが、もちろん我々にはその正確性などわかるはずもない。
この口笛は世界無形文化遺産に指定され、20年ほど前からは学校でも教えられている、なので若いウェイトレスさんはできるがおじさんのマネージャーはできないというのが面白い。
昼食後は内陸のガラホナイ国立公園へ。
まずはビジターセンターに立ち寄り。
中には昔の島民の生活を紹介する展示などあって、谷を長い棒で飛び越えたり、厳しい生活だったろうことが伺える。
外にはたくさんの花が植えられているが、面白いのは多肉植物。
島中至る所に生えていて、道路脇の岩壁にもいっぱい。
日本なら花屋で売られているようなものが大繁殖して花まで咲いている。小さいのを1つ、2つ、欲しかったな。
ビジターセンターから少し先には森の中を歩くトレイルがある。
このトレイルはとても良く整備された歩きやすい道。
周りの木はすべてびっしりと緑の苔に覆われて、屋久島みたい。
公園の外とはまったく植生が違うのでびっくりする。
足元には小さな花が見えて、一番多いのはヒメフウロの一種。
この島の固有種で、この後に泊まったホテルにはこの花が一面に咲いている写真があったが、この時には既に終わりかけていた様子。
他にも花は見えたが、期待したほどたくさんは見えなかったのが残念。
その代わり、こんな鳥さんたちに遭遇。
森の中は鳥のさえずりでいっぱいだった。
今回のトレイルは1㎞弱と短くて物足りなかったが、世界遺産登録もされているこの国立公園内にはトレイルがいくつも設定されていて、中にはかなり長い本格的トレッキングルートもある。もっと長く滞在して歩くのも楽しそうだ。
国立公園からは島の南端にある空港を目指す。
島中央の山から南側に出ると今度は乾燥した景色になり
段々畑にはヤシの木が植えられ
鮮やかなオレンジ色の花を咲かせたサボテンもいっぱい。
もうすぐ空港に到着する。
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