Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

「危険なメソッド」@Bunkamura ル・シネマ

2012-11-07 23:55:01 | 機内食・映画・美術展
大好きな変態監督、デヴィッド・クローネンバーグがなんとフロイトとユングの映画を撮ったという。
撮る映画がどれもまるで精神分析の題材だらけのようなクローネンバーグ、これは見ないわけにはいかない。

というわけでBunkamuraのサービスデー、一律1000円の日に見てきた。

 「危険なメソッド」 A Dangerous Method

いきなり結論を言ってしまえば、今回はかなりがっかり。

クローネンバーグといえばいつも空気が凍りついたように澄みきり、張りつめているのだが、20世紀初頭のスイスとウィーンを舞台としながらなぜか季節はいつも夏のようで、暖かい空気とともに映画自体もぬるくなってしまったよう。

フロイトと言えば性的抑圧だし、ストーリーの中心がユングと患者の不倫関係、しかも患者の病気の原因が性的トラウマとなればクローネンバーグお得意の性的イメージ爆発を期待していたのだが、今回はびっくりするほどお上品、なんでクローネンバーグの映画がR-11なんだと思っていたが、これなら納得。

興味深かったのはユングが大金持ちの奥さんをもらったドイツ系のブルジョワ階級で経済的に全く困ることがなく、ユダヤ系で子だくさんのフロイトとは立場が全く異なっていたこと。
お上品に取り繕った奥に自らドロドロしたものを抱え込んでいるところも描かれるのだが、これがいつになくあっさりしていて、まったく肩透かしをくらってしまう。
フロイトとユングの不倫相手ザビーネがユダヤ人であることもあまり強調されすぎることはないのだが、これもテーマ臭いなと思ったらクローネンバーグ自身、ユダヤ系だそうだ。

ザビーネを演じたキーラ・ナイトリーは特に冒頭の病気の部分で大熱演。ナタリー・ポートマンやシャーリーズ・セロンなどもそうだが、あちらの女優さんは美人でも果敢に汚れ役を演じる。
しかしこの実在したというザビーネ、病気が治療のおかげで回復し、自ら精神分析医になった経緯にどうも説得力がない。
原作は舞台劇だそうだが、いっそ大幅に改変してザビーネの視点からこの話を語った方がおもしろかったんじゃないだろうか。

というわけでこの映画で気に入ったのは女優さんたちのレースのブラウスだけ。高いハイネックと膨らんだ袖が素敵なのだ。

年の行ったクローネンバーグに「デッドゾーン」や「戦慄の絆」のような映画はもう期待できないのだろうか。


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2 コメント

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蜃気楼様、 (Lunta)
2012-11-09 10:25:24
80,90年代のクローネンバーグ、とんがっていてよかったですよね。
最近老いてますます盛んなのはイーストウッドぐらいじゃないでしょうか。
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Unknown (蜃気楼)
2012-11-08 07:30:24
クローネンバーグ、懐かしい響きです。
スキャナーズとか。
老いてますます盛んとはいきませんでしたか。
返信する

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