Luntaの小さい旅、大きい旅

ちょっとそこからヒマラヤの奥地まで

北イタリアの旅 9 ラベンナ前篇

2014-12-07 16:52:40 | ヨーロッパ
11月1日

普段はぐうたらなくせに、旅行に出た時だけは勤勉になる。
本日も早い列車に乗るために早起きしてボローニャ駅へ。

するとたくさんある券売機がどれも停まっていて
 行列する乗客をよそに集金・調整作業中。
みんなが急いでいるこんな時間にやるなよ、と日本人としては思うが、イタリア人は慣れているのかイライラした様子も見せない。イタリア人って意外に辛抱強いのね、とこれはシチリアの郵便局で散々待たされた時にも思った。

 7時54分発の普通列車で1時間半。
 
到着したラベンナは有名な観光地だが、駅はこじんまり。
 
駅の周囲も落ち着いた小さな町といった風情だが、歩いているうちにローマ時代の遺跡なども見えてくる。

二次元装飾フェチとして今回の旅で一番楽しみにしていたラベンナ、最初に見学したのはサンタポリナーレ・ヌオーヴォ聖堂。
 
それほど大きくもなく、外見は地味な教会だが、ここで5館共通チケットを買って中に入れば
  
正面の祭壇部分こそ16世紀のものながら、両サイドに6世紀のモザイクがずらり。
  
祭壇に向かって右側には聖マルティヌスに導かれた26聖人。
  
左側には東方の三賢人に導かれた22人の聖女たちが並んでいて、金色のバックに白い衣と緑の椰子の木がさわやか。
これらはビザンチン形式のものだが、行列の先頭にいるキリストと聖母子像
 
 そして壁の上部に並ぶキリストの奇跡などの場面はそれより古く、東ゴート王国のテオドリック王時代の、東ローマ帝国からは異端とされたアリオス派のものなのだそうだ。

両形式の細かい違いなどはわからないが、教会全体が明るく軽やかな印象でとても居心地のいい空間。
長居をしたくなるが、細部はこちら↓で見ていただくとして

次に行こう。

商店の並ぶ町の中央通りから脇道に入った所にあるのは
 アリウス洗礼堂。
やはりテオドリック王によって5世紀末に建てられた小さな八角形の建物で、ドーム天井にキリストの洗礼の場面とそれを取り囲む12使徒のモザイクがあるが
 
 水の中にキリストの男性器が見える。
これこそアリウス派がキリストの人間性を肯定した証しで、そのために異端とされた。
このモザイクが良く残ったものだ。

にぎやかな通りに戻ってしばらく行くと町の中心であるポポロ広場に出て
 
右折すれば市場があるが、土曜日のため残念ながらお休み。

この先にあるのがラベンナでも一番有名なサン・ヴィターレ聖堂 。
 東ローマ帝国時代の548年に建てられたこの八角形の聖堂はのちのコンスタンティノープルのアヤソフィア、さらにその後のモスクにも影響を与えたとか。
  小さな入口から中に入ると、中央の高いドーム天井はバロック様式だが
 
正面の内陣は華やかなモザイクでびっしり。
 中央の若いキリスト像をはじめ 
 
壁から天井まで、キリスト教のエピソードやシンボルで埋め尽くされている。

その中で目立つのは東ローマ帝国皇帝のユスティニアヌス1世とその后妃テオドラの肖像。
  
皇帝が厳しそうな表情なのはともかく
  
元踊り子とか言われるテオドラがいじわるそうな表情に見えるのは作り手の悪意だろうか。

  
柱や床まで、サン・ヴィターレ聖堂はとにかく密度が濃い。
モザイクも東ゴート時代の物に比べると、好みは別としてやはり完成度が高い。

というわけで、サン・ヴィターレ聖堂のモザイクはこちら↓
 
 

これを堪能して裏に出ると
  
かわいい並木の先にあるのが小さなガッラ・プラキディア廟堂。
ガッラ・プラキディアとはローマ皇帝オノリウスの妹で、この建物を自分の墓所として5世紀中頃に建てたが、ローマで亡くなったためにここには葬られなかったのだそうだ。

カーテンで覆われた小さな入口から中に入ると観光客でいっぱいだが
 
天井の青と雪片のような模様がかわいく
  
廟の中央の天井ではさらに深い青に小さな星がまたたき、小さなアラバスタ―の窓から入る光も神秘的だ。
 入口の上には羊に囲まれた若いキリスト像があるが、これがラベンナでも最も古いモザイクとは信じられない完成度。

ラベンナ観光局のHPによると、この天井からインスピレーションを得て新婚旅行中のコール・ポーターが「夜も昼も」を書いたと言うが本当だろうか。

午前中からすごいモザイクをひたすら見上げて、さすがに疲れた。
 そろそろお昼休みにしよう、とポポロ広場の近くに見かけたピアディーナ屋へ。
 
ピアディーナとはロマーニャの薄焼きパンで、この店ではあらかじめ焼いてあるものを注文すると鉄板で温めてくれる。
 
これに具を挟んで、二つ折りにすれば出来上がり。
一つはモルタデッラ、もう一つはクリームチーズとイチジクジャムにして友人とシェア。
パンはアラブのホブスとよく似た素朴なものだが、この店のはちょっと厚めで、一つ食べるとお腹がいっぱいになった。

さあ、午後もまたモザイクを見るぞ。


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北イタリアの旅 8 夜のボローニャ散歩

2014-12-04 18:48:54 | ヨーロッパ
10月31日 続き

ボローニャの宿に帰り着くと外はもう真っ暗。
しかしせっかく滞在している町、ほしいものもあるのでまた外に繰り出す。

  
旧市街の中心にあるのはマッジョーレ広場。西側を占める大きな建物は市庁舎。その前には16世紀に作られたネプチューンの像。
 南側にあるこれまた大きな教会はサン・ペトロニオ大聖堂。
14世紀の終わりから建築が始まり、世界一を目指していたものの16世紀になって「バチカンのサンピエトロより大きいとはけしからん」と法王から横やりが入って、それで正面が中途半端なままになってしまったとか。それでも世界で5番目の大きさだそうだ。

この広場の周りには店がたくさんあって大にぎわい。
 さらに南のバルべリア通りには高級な店や立派な建物が並んで
  
   
ポルティコの天井までこの美しさ。こういう贅沢さはさすがヨーロッパ。

ここからさらに南へ歩いて行くとまわりは静かな住宅街になり、途中に渋い教会などあるものの人通りもまばらになって、友人と二人でよかったと思う。
 
しばらくして道をまたぐ塔をくぐるとようやく目指す店が見えた。
 ボローニャ一との評判高いアイスクリーム屋、「ソルベッテリア・カスティリオーネ」。

とても有名なので老舗かと思いきや、創業は1994年だそうで、店内もモダンで明るい。
 
まずはレジでコーンの大きさを決めてお金を払い、それからほしいフレーバーをお兄さんに告げて盛り付けてもらう。
ただしこの店では中身は見えないので、頼るは頭上のフレーバー表のみ。これがイタリア語なのでもう判じ物の世界。
 
本当は果物のジェラートが食べたかったのだが、季節柄それらしきものはない。フレッシュな材料を使っている証しだろう。
その代わりメニューに並ぶのはクリーム系、しかもミケランジェロだのルドヴィコだのと名前の付いた凝った組み合わせがたくさんある。となればそれを試してみなければ、とルドヴィコ(ヘーゼルナッツのアイスにキャラメルがけヘーゼルナッツ入り、たぶん)とカリン(ホワイトチョコのアイスにキャラメルがけヘーゼルナッツ入り)を選択。

ヘーゼルナッツばかりになってしまったが、好きなのでいいのだ。
アイスクリームは濃厚で、そこにナッツのカリカリがうま~い。期待した通り、フレーバーが立っている。
一番小さなピッコロで確かにコーンは小さいが、アイスはたんまり盛られているのでもうこれでおなかいっぱい。
これで2.3ユーロはイタリアではとても高いそうだが、日本人としては大満足。

 戻ってきた町の中心部はこれから食事に繰り出す人たちでにぎわっていたが、今夜の食事はこれで終了してしまった。


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山口ういろう食べ比べ

2014-12-02 18:03:02 | 国内旅行
イタリア旅行記の途中だが、マイル消化のために思い立って山口県に行ってきた。
むろん日本未踏県制覇のためである。

まったくと言っていいほどご縁のないところであるため出かける前にいろいろ調べてみると、山口のご当地グルメはういろうだと言う。

ういろうというお菓子は実は全国いろいろなところにあって少しづつ違うらしいのだが、一番有名な名古屋のういろうは実はちょっと苦手。あのもそもそとした食感がどうもあまり好きではないのだが、名古屋のういろうが米粉を使っているのに対して、山口のういろうはわらび粉を使っているので食感が違うという。

ならば試してみなければ、と到着した山口宇部空港の到着ロビーに早くもお店を見つけたので一つ購入。
 
これは「たまや」というお店のひとくち生ういろう。
近寄ると試食に一つくれて、おいしかったので買おうとすると10個入りだと言うのを「一つだけでいいんだけど」と言うと嫌な顔もせずにバラ売りしてくれた。本当に一口の小さなサイズで一つ60円。
確かにプルプルとした食感で、甘さは水ようかんぐらいだろうか。

次に購入したのは「豆子郎」の生ういろう、右から小豆、抹茶、この季節限定の栗の3種類。
 
こちらは細長くて、栗は160円、その他は110円。
食感はたまやさんよりもモチモチしていて、甘さは控えめ。
包んでくれたお姉さんは試食用の小さいのを二つも入れてくれたが、普通だったら「おまけしますね」とか言うところ、黙ってこっそり入れてくれた。なんと奥ゆかしい。

 山口市の郊外、湯田温泉にある渋いお店は「松田松栄堂」。
ここはお店の裏で作っているういろう専門店で、店頭にいるのは品のいいおばあちゃん。
 
4種類ある生ういろうのうち栗(68円)を選ぶと、「この栗は缶詰の栗を使ってますよ、もう生栗は終りだから」と実に正直。しかし粒々の栗と小豆の入ったういろうはプルプルが半端なく、ほとんどわらび餅。もう一つの夏ミカンも実に爽やかで、生ではないがこの店にしかなかったラムレーズン(!)はむちゃくちゃラムが効いていてこれが小豆ととても合う。

ちなみに生ういろうと普通のういろうのちがいは「包装の違いだけ」。
生ういろうはすぐに固くなってしまうので賞味期限が1、2日しかなく、これを密封して1週間ほどと日持ちをよくしたのが普通のういろう、とこれはどこの店でも言われた。山口の人は正直者なのだろうか。
ついでにういろうは冷蔵庫に入れるのもご法度だそうだ。

最後は老舗、「御堀堂」の黒糖を使った黒ういろう。
 
小さいのが簡易包装の生で、一つ100円。
こちらのはもちもちした水ようかんといった感じで、上品な甘さは一番和菓子らしいかもしれない。

ということで食べ比べてみた結果、自分の好みは一番が松田松栄堂で、結局は作りたてがおいしさの秘訣と言うことだろうか。
二番は御堀堂だけれど、どこのお店のものも甘さが控えめで食感も食べやすく、名古屋のういろうよりも万人受けすると思う。

ところで山口銘菓のういろうはどうも「山口市」のお菓子らしく、萩や下関でも土産物屋にあることはあったが、賞味期限の短い生ういろうが手に入るのは山口市内だけのよう。

ういろうを買うだけでもなんとなく県民性がほの見える山口旅行記はいずれまた。


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