枕草子 第七十四段 あぢきなきもの
あぢきなきもの。
わざと思ひ立ちて、宮仕へに出で立ちたる人の、もの憂がり、うるさげに思ひたる。
養女の、顔憎げたる。
しぶしぶに思ひたる人を、強ひて婿どりて、
「思ふさまならず」と、嘆く。
いまさらどうしようもないもの。
自分から望んで、宮仕えに出てきた女房が、ふさぎ込んだり、宮仕えをおっくうがったりしているのは、困ったものです。
養女の顔が憎らしげなの。
婿になるのを渋っていた男を、無理に婿として迎えておいて、
「期待通りではない」と嘆いても、どうなるものでもありません。
感覚として分かりやすい章段です。
現代でも「味気ない」という言葉を遣いますが、ニュアンスは少し違うようです。
文中の「養女(トリコ)の、顔憎げなる」の部分ですが、自分の子供ならともかく、養女であれば選ぶことが出来るのだから、醜い子供だといって後悔しても自分の責任ですよ、ということなのでしょう。
少納言さまのなかなか辛辣な一面が窺えます。
あぢきなきもの。
わざと思ひ立ちて、宮仕へに出で立ちたる人の、もの憂がり、うるさげに思ひたる。
養女の、顔憎げたる。
しぶしぶに思ひたる人を、強ひて婿どりて、
「思ふさまならず」と、嘆く。
いまさらどうしようもないもの。
自分から望んで、宮仕えに出てきた女房が、ふさぎ込んだり、宮仕えをおっくうがったりしているのは、困ったものです。
養女の顔が憎らしげなの。
婿になるのを渋っていた男を、無理に婿として迎えておいて、
「期待通りではない」と嘆いても、どうなるものでもありません。
感覚として分かりやすい章段です。
現代でも「味気ない」という言葉を遣いますが、ニュアンスは少し違うようです。
文中の「養女(トリコ)の、顔憎げなる」の部分ですが、自分の子供ならともかく、養女であれば選ぶことが出来るのだから、醜い子供だといって後悔しても自分の責任ですよ、ということなのでしょう。
少納言さまのなかなか辛辣な一面が窺えます。