雅工房 作品集

長編小説を中心に、中短編小説・コラムなどを発表しています。

あぢきなきもの

2014-12-08 11:00:57 | 『枕草子』 清少納言さまからの贈り物
          枕草子 第七十四段  あぢきなきもの

あぢきなきもの。
わざと思ひ立ちて、宮仕へに出で立ちたる人の、もの憂がり、うるさげに思ひたる。
養女の、顔憎げたる。
しぶしぶに思ひたる人を、強ひて婿どりて、
「思ふさまならず」と、嘆く。


いまさらどうしようもないもの。
自分から望んで、宮仕えに出てきた女房が、ふさぎ込んだり、宮仕えをおっくうがったりしているのは、困ったものです。
養女の顔が憎らしげなの。
婿になるのを渋っていた男を、無理に婿として迎えておいて、
「期待通りではない」と嘆いても、どうなるものでもありません。



感覚として分かりやすい章段です。
現代でも「味気ない」という言葉を遣いますが、ニュアンスは少し違うようです。

文中の「養女(トリコ)の、顔憎げなる」の部分ですが、自分の子供ならともかく、養女であれば選ぶことが出来るのだから、醜い子供だといって後悔しても自分の責任ですよ
、ということなのでしょう。
少納言さまのなかなか辛辣な一面が窺えます。
コメント
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