虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

だんだんややこしくなっていく子、どんどん成長していく子 1

2019-02-14 21:11:14 | それぞれの子の個性と才能に寄りそう

このところずっと、保育士おとーちゃんの子育て日記というブログを読ませていただいています。

現在の家庭の育児の危うさ、保育の危機、虐待について、子どもの人格形成のこと、

早期教育の問題点、日本の子育て文化の落とし穴について……

どれも日々実感していることばかりで深く共感しながら読ませていただきました。

 

特に次の一連の記事は、虹色教室でも常々、頭を悩ませている点で、

(それを解消するために親子同室のベビー~2、3歳児用のグループレッスンを始めた経緯があるほどです)

ぜひ、多くの方に読んでいただきたいと思いました。

 

現代の子育ての落とし穴 「いい子・できる子」

現代の子育ての落とし穴 「いい子・できる子」 2 「抑圧ポイント」

現代の子育ての落とし穴 「いい子・できる子」 3 「抑圧された子」

現代の子育ての落とし穴 「いい子・できる子」 4

現代の子育ての落とし穴 「いい子・できる子」 5 「認可園と認証保育所」

 

今回、わたしが書こうとしている記事は、この「いい子・できる子」という話題とは

ちょっと異なるのですが、

重なる部分も大いにあります。

 

前にも一度記事にしたことがあるのですが、虹色教室にもごくごくたまに

「だんだんややこしくなっていく子」というのがいます。

後の大多数は、「どんどん成長していく子」で、少数ですが

その中間の「ややこしくはならないけれど、あまり成長が見られない子」というのもいます。

 

子どもとたくさん接しているうちについた勘なのか、親御さんの子どもとの関わり方を見ていると、

その先、どれに行きつくのか、特に「これはだんだんややこしくなっていきそう」

というケースは即座にピンとくるようなところがあります。

 

子どもの障害のあるなし、その重い低い、

問題行動の多い少ない、知力の高低に関わらないのが不思議です。

 

子どもがある時点でさまざまな発達上の遅れを抱えていても、

それが非常に深刻なものだったとしても、

親御さんの関わり方を見ていると、「ああ、この子は大丈夫」と

感じることは多々あって、実際、半年なり1年すると

みちがえるように成長していくのを実感しています。

 

でも、「あんまりダメ出しばかりしていると、混乱したり、子育てを続けていくエネルギーが

枯れてきたりしそうだから、言うに言えないけれど、

このままいったらややこしい子に育っていきそう」

とヒヤヒヤしながら見守っている方の場合、

子ども自身はハンディーキャップもないし、知力もしっかりしているという子であっても、

十中八九、すごく扱いにくい子になったり、学習面で伸び悩んだり、社会性の面で幼さが目立つようになったり

していくのです。

 

それなら、その「ややこしい子になりそう」という勘は

何を根拠にどんな基準のもとで

「大丈夫」「危なっかしい」と判別しているのかというと、

それが世間一般の常識的な子育ての良し悪しの判断とはかなりずれている

わたし独自の感じ方であって、上手く言葉にできるか自信がありません。

 

それでも、保育士おとーちゃんさんの言葉を借りなどしながら、何とか説明していこうと思います。

 

幼稚園や保育所、小学校などには「虐待寸前」「子どもをどなったり、叩いたりしてしまう」

「子どもがかわいく思えない」「早期教育に走って子どもを競争に追い立てている」といった

誰の目から見ても

子どもの育て方に危なっかしさを感じさせる親御さんというのも一定数存在していることと思います。

 

でも虹色教室にいらっしゃる方というのは、そんな無茶な子育てをしている方というのはまずいらっしゃらなくて、

問題があると言ったって、せいぜいちょっと甘やかしすぎるか、ちょっと干渉しすぎるか、ちょっと心配しすぎるか、

ちょっと放任しすぎるか、ちょっと期待をかけすぎちゃうか、といった程度のものです。

 

それもたいていは、月に1度とか2ヶ月に1度でも教室に通っていただくうちに

良い具合に接し方の加減をマスターして、

「親子共々成長していってるな~ついでにわたしもそれに便乗して成長させていただいたな」と思っているうちに、

子どもの目を見張るような成長ぶりや個性のすばらしさの発露に

親御さんもわたしも感激し、

子どもは自信に満ちてくるという流れを何度も繰り返し体験してきました。

 

そうした親御さんと、

「だんだんややこしくなっていく子」や

「ややこしくはならないけれど、あまり成長が見られない子」の親御さんに

大差はありません。

 

非常に言語化しにくい事柄で誤解を承知で書くならば、

子どもの成長の足を引っ張りぎみな親御さんというのは、

 

「子育てには興味があるけれど、その子自身にはあまり関心がないようだなぁ」

 

と見えるのです。

子育てブログや幼児教育ブログの文面から

それを感じ取ることもよくあります。

 

「見たところ、子どもに過剰なほど関心があるようでいて、その子が大好きなもの、

その子を笑顔にして夢中にさせるものは

必ず軽く扱うなぁ、幼稚っぽいもの、くだらないものという判断をくだすなぁ」と感じるのです。

 

それこそ、しょっちゅうギューツと抱きしめたり、

子どもの喜ぶ場所にあちこち連れて行ったり、

外遊びをさせたり、子どもをのびのびと育む園を選んだり、より良いおもちゃや服を買いそろえたり

している方なのに、

「この方は子育てには興味はあるし、すばらしい子育てをしようとしているけれど、

その子自身には、その子の内面には少しも興味がないんだな」と感じることがあるのです。

 

案外、「わたしは良い親になれない。叱りすぎてしまう」など悩みつつ子育てしている方には

それほど問題はなくて、

「良い親」と周囲から認められるバリエーションを全てこなして

自他共に良い親をしているとがんばっている方が

わたしの目からすると、その方の子どもに全く関心がないように感じられることって大いにあるのです。

 

子育てが上手くいかないと悩んでいる方の

上手くいかないと感じておられる原因はだいたい次の3つのどれかに当てはまるのではないかと思っています。

 

①親の子育て態度が、子どもに対して強圧的で支配的に振舞っているか、

子どもの言いなりになって振り回され気味になっているか、

そのどちらかに大きくぶれている。

保育士おとーちゃんの子育て日記 では 

相談 「弱い大人」と「強い大人」

という記事で説明されています。

 

②子どもに発達障害や感覚統合の問題などがあるのに気付いていないか、それから目を逸らしている。

障害については理解し受け止めているけれど、障害名に踊らされて、

わが子自身が見えにくくなっている。

 

③子育てや子どもの教育に強い関心がある一方で、わが子そのものに関心が薄い。

世間的により良いとされるものや

自分好みの子育てがしたくて、

わが子の喜びや好みに注意がいかない。自分の子を笑顔にするものに興味がない。

自分が喜んでもらいたい、わが子に好きになってもらいたいと期待するもののものにだけ、わが子の喜びや

興味を感知して、それ以外は無意識にスルーしている。

 

それでも、他の人がいる場では、子どもの喜びが自分の喜びであるような感情表現をしているため、

自分自身さえ自分の子に関心がないことに気づいていない。

 

 

次回に続きます。


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