虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

『野生の思考』を読みました 1

2017-02-03 10:32:46 | それぞれの子の個性と才能に寄りそう

明日は、子どもたちと『国立民族学博物館』に行ってきます。トーテムポールの写真を撮ってきます。

 

年末にたまたま手に取った100分で名著(Eテレの番組です)の冊子がきっかけで、

年明けから、レウ¨ィ=ストロースの『野生の思考』やその関連本にどっぷりはまっていました。

 神経線維(ニューロン)の中でおこっている情報処理のしくみと、脳をつうじて人間の

おこなっている情報処理のしくみとの間に、きわめてよく似た様式が使われているという話題は、

普段、子供たちを観察していて感じていることと合致していて、深い感動がありました。

 

『野生の思考』は、未開社会について書かれた本ですが、

人類は人類になったときの脳の構造を今もなお使って思考している

という人の心の普遍性についても語られています。

 また、レウ¨ィ=ストロースは、「どの子供も生まれながら粗削りな知的構造の形で、

人類が太古から『世界』との関係および『他人』

との関係を規定するに用いる手段の総体を有する」とし、

子供の思考は一種の「普遍的基層を形成している」とも述べています。

 普遍的基層とは、「世界を分類する知性」

と、「分類したものを組み合わせ、変換しながら体系を作っていく能力」のことです。


 『野生の思考』の関連本に目を通すうち、中沢新一先生の『ポケモン神話学』という

「野生の思考」が電子ゲームの世界に息づいているとする面白いゲーム批評を読みました。

ポケモンというキャラクターが、「自然を人間化する」というテーマに取り組み、

自然を含む間の領域に満ちている力をモンスターとして分類化し、戦わせて

自然力の間に交換現象をなりたたせている、と説明されていました。

 

野生の思考について知るうちに、いつも読ませていただいているブログ『マイコー雑記』のマイコーさんが

文化人類学を専攻しておられたのを思い出し、

『野生の思考』を読んでわくわくしていることや、

「教室でしている取り組みというのは、ここにあるブリコラージュだな~と思ったり、

子どもたちも分類と変換による「構造」の思考(縄文人の思考)によって知識の体系を作っていくな~と感じたりしながら読んでいます」

とコメントしたところ、

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『野生の思考』、日本からアラスカ、そして米国横断しここ東海岸へと持ってきています。

最近「虹色教室通信」でも取りあげられていたシーモア・パパート(Seymour Papert)氏は、

「挑み(try)、試し(test)、遊びまわる(play around)ことを通して学んだり問題解決したりする方法」を

「ブリコラージュ」と言ってるんですよ。あれやこれやと目の前にあるものをいじくり回し遊ぶことが、

学習・問題解決に繋がると。

まさしく「虹色教室」ではありませんか!

新しいものーと外へ目を向けずとも、既にあるものをこねくりまわし組み合わせていくことで

とてつもなく新しいものができることがある。驚くような可能性の芽は実は

身近な周りにもう既に転がっているのかもしれない、そう考えるとドキドキしてきます。

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という返事をいただきました。

もっとも、わたしはいつもどこか抜けているので、(おまけに目が悪いので)

ブリコラージュのことをプリコラージュと読み間違えていたのですが。

教室のレッスン記事をそんな風に捉えていただいていてうれしかったです。

 

100分名著 のテキストにこんなことが書かれています。

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子供たちが好きなミニカーや軍艦模型、あるいは人形などを通じて、物事を小さくすることで

知的理解の中に取り込むことの快感の本質は、このように元来知的なものです。

対象を理解するために縮減できたときの驚きは知の喜びですが、

模型を楽しんでいた人が実物の戦艦大和の甲板に立ったときに

感じるであろう、巨大すぎるものへの驚きは、

むしろ宗教に近いのかもしれません。

この世界認識としての縮減は、ヤコブソンの構造言語学の中にすでに登場していた、

連続的な自然を縮減して、文化的な構造単位をつくるところにあらわれていました。

            (100分de名著 野生の思考 中沢新一 NHK出版より引用)

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縮減しながらサイズを縮めて、世界を知的に把握しようとする姿は、

教室でジオラマづくりを楽しむ子らや工作に夢中になる子らに

色濃く見られます。


カテゴリー化、階層化、分類化の能力が伸びる年中、年長さんの時期

 

 ゴミ処理場が作りたい♪

 

 猛烈に工作しまくる1年生3人組

 

年中のAちゃんは2歳の頃からもりもりと物を作りまくる工作が大好きな女の子です。

 

少し前のレッスンでは、ストローと画用紙で↑の写真のような

馬小屋を作っていてびっくりしました。

 

 

先日、みんなでポップアップ絵本の作り方を学んだ時、

Aちゃんは、ポップアップで飛び出す馬小屋を作ろうとしていました。

さすがに折りたたまれた馬が立ち上がる仕組みを作るのは不可能なんじゃないかと思ったのですが、

なぜか大成功。

 

 

 

 きれいにたたんだ状態から、本を開くと、2匹の馬が立ち上がっていました。

 

Aちゃんは、目にした好きなものを片っ端から

作ってみようとする子です。

最近になって、工作するだけでなく、作りたいと思ったものについて、

どんな難しい知識でも取り込んでいこうとする知識に対する貪欲さが目立ってきました。

また、一生懸命、考えたことを、言葉にしようとするようになりました。

魔法学校のゲームをしていた時、ユニコーンの涙を集める方法を耳にすると、

「どうやってユニコーンのところまで行ったらいいんだろう?」と他の子らと話すうちに、

Aちゃんが真剣な顔で、「馬に乗って行ったらいいんじゃない?

ユニコーンと馬は仲間だから、馬はユニコーンのところまで行けると思う」と

言っていました。

 


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