賞なのでむずかしいのを選んでおきましたという感じ。
でも、音楽でもそうだけど現代音楽とクラッシックの違い
で指揮者さえ暗譜では指揮できない現代音楽のように聴く側の
姿勢も問われるそんな形式を進んでいるとかあたらしいと
するのなら小説としての完成もこんな形でいいのかと問われて
いるかの様で安直にはうなずけないのです。
この本と同時に新聞の連載を読み、モーニングの巻末の小説を
読んでいますが、どれもそれぞれにおもしろいと感じます。
新聞小説とか週刊誌の連載などは途中で読者が脱落してしまう
可能性は高いのに、逆に読む者を楽しみにさせ新聞や週刊誌を心
待ちにさせる気持ちをかきたてるそんなのがやはり小説には必要
だと思います。
それが金をとって文章を売る人の必須の力量であり、読ませる
ものがあるという売り手の資格のような物だと思います。
難解でもしりたいという気持ちを主題に触れた喜びをもたらす
ことが必要だと思います。
しかし、この本は自己満足で終始しているので、読んでいる人の
次の刺激がないのです。
自分のうちから反応する物がないのです。
なるほど色々なアイディアや見せるべき技はあると見受け
ますが、それは最終の物に結実していないのではないでしょうか。
作者の破綻と安寧が求める芸術に結実していないそんな印象です。