金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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18・19:デュ・モーリア 『レベッカ<上>・<下>』

2012-02-20 18:18:26 | 12 本の感想
デュ・モーリア『レベッカ〈上〉・〈下〉』(新潮文庫)
★★★★☆

モンテカルロのホテルで偶然出会った貴族のマキシムに
見初められ、歳の離れた彼の後妻になった「わたし」。
新妻として彼の邸に住むことになった「わたし」だが、
前妻・レベッカのメイドであり、邸を取り仕切っている
ダンヴァース夫人には反感を持たれている様子。
美しく才能にあふれ、周囲の人々からも慕われていた
レベッカの気配は今も色濃く残り、
人々がレベッカと自分を比較しているように思える
「わたし」は、その気配に接するたびに
追い詰められていく。

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おすすめ本としてよく見かける作品。
「ゴシック・ロマンの金字塔」らしい。
英文そのものの文体のせいなのか、訳の問題なのか、
冒頭の部分が読みづらく冗長に感じられて(主人公はいらん想像ばかりしている)
一度挫折してしまったのだけど、そこを通り抜けたらおもしろく、
上巻だけでやめるつもりが夜中までかかって下巻まで一気読みしてしまった。
仮装舞踏会の衣装に関するダンヴァース夫人の進言なんか、
もう見え透いていてすぐに意図に予想がついちゃうんだけど、それでもおもしろい。
主人公の「わたし」にとっては、真相や罪なんかよりも
自分が愛されているかどうかのほうがよっぽど大事なんだなあ。
そして、愛されていると自信を得た女は自分の存在についての認識そのもの、
そしてそれが反映された言動ががらりと変わってしまうのだった。
下巻の展開は予想外で、なぜか息をひそめて読んでいた。
コメント (4)
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