金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

山形孝夫 『図説 聖書物語 旧約篇』

2006-06-08 16:22:58 | 06 本の感想
本の感想115:山形孝夫『図説 聖書物語 旧約篇』(河出書房新社)
★★★★★

再読。
宗教画が好きなので題材になっている聖書のエピソードは
たいていわかるのだけれど、聖書そのものについては実は未読。
何度も読もうと試みつつ、挫折の繰り返しなので、
こういうダイジェスト版はありがたい。
絵画とともにあらすじと解説が紹介してあります。
専門用語も説明をうまく織り込んで使われているので、
とても読みやすい。

神に選ばれた英雄が、決まったように堕落していくのに、
なんだか空しさを感じる。
いろいろ思うところあるけれども、宗教的な問題ですので以下自粛。


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山内 昶 『タブーの謎を解く―食と性の文化学』

2006-06-08 15:19:21 | 06 本の感想
本の感想114:山内 昶 『タブーの謎を解く―食と性の文化学』(ちくま新書)
★★★★☆

古今東西の文明に存在する食と性に関するタブーと、その理由を解明する一冊。
「特定の動物を食べるのを禁じられているのは、宗教の教義から」とか
「近親相姦が忌避されてきたのは、遺伝のメカニズムとして支障があるから」とか
なんとなく思ってましたが、そんなの、根本的な理由としては成立しないのね~。
ときどき専門的な難しい説明も出てきましたが、
全体としては読みやすくわかりやすい。
そこまでの強制力があったのかについてはやや疑問を感じますが、
食と性、双方のタブーに共通する理由づけはすっきりしていて一応納得。

「霊長類のオスの比較」の表で、ヒトの性交時間の欄が「?」になっており、
「読者各位で数字を入れていただきたい」と書かれているのにウケました。

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山本文緒『日々是作文』

2006-06-07 15:20:35 | 06 本の感想
本の感想113:山本文緒『日々是作文』(文藝春秋)
★★★★★

ここに山本文緒さんの本の感想がほとんどないのは、
ブログを始める前に著作をほとんど読みつくしてしまったからです。
女性作家の中では5本の指に入るくらい好きな作家さん。
高校生のころに、唯川さんの本は自分には合わないなあと思い、
コバルト出身だということでひとくくりにして敬遠していたのですが
(似た雰囲気の大人向けの恋愛小説だと思っていた)、
山本さんの本って、「恋愛小説」じゃないよね……?
小説の意地悪なトーンと、エッセイの乾いた文体が好き。
この本はあちこちの雑誌に掲載されていたエッセイなどをまとめたもの。
一篇一篇が短いのでキリのいいところでやめられるから……と
思ったのだけど、一気に読了。
出勤途中の電車で読んでいて、不倫の替え歌で吹きそうになりました。

小説では『眠れるラプンツェル』と『恋愛中毒』が好きです。
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柴田よしき『桜さがし』

2006-06-06 15:22:15 | 06 本の感想
本の感想112:柴田よしき『桜さがし』(集英社)
★★★☆☆

中学時代からの友人である男女4人と、その恩師である浅間寺。
彼らの周辺で起こる事件とその謎解きを、京都の風物をからめて描いた
青春ミステリーの連作短編集。
この作家さんの本は二冊目なのですが、毒のある話に慣れてしまったのか、
あっさりした解決と、特に人間関係におけるやさしい世界に
やや物足りない気も。
たぶん人物の書き方があまり好みじゃないんだろうなー……。
ストーリー自体は好きです。「翔べない鳥」とか「片想いの猫」とか。

ぐたぐた愚痴言ったり弱みを表に出すのが男性二人のほうなのは、
女性ならではの視点だなあと思いました。
傾向として、女の子はこういう垂れ流し方はしない気がする。

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綿谷りさ『蹴りたい背中』

2006-06-05 15:24:01 | 06 本の感想
本の感想111:綿谷りさ『蹴りたい背中』(河出書房新社)
★★★★★

おもしろかったです。『インストール』より好き。
日常の風景を淡々と描いた物語なので、
好き嫌いは分かれるかもしれないけれど。
冷静にクラスや部活の人間関係を観察し、仲間に入りたくないけれど
一人でいるのも嫌だ、と考える主人公。
ああこの感じ覚えがある、と思わせる人間関係の描写がいい。
「にな川」のオタクっぷりと、それにドン引きしている主人公のやりとりが
おもしろかった。
彼を嫌悪しながらも惹かれていく主人公の心理も、想像はできる気がする。
絹子ちゃんのキャラクターがよいですね。
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岩瀬成子『となりのこども』

2006-06-03 15:25:22 | 06 本の感想
本の感想110:岩瀬成子『となりのこども』(理論社)
★★★☆☆

日常の中にある、小さく繊細な子どもの世界を切り取った短編集。
「あたしは頭がヘンじゃありません」のみは老女の視点で語られていて
やや異色。
それぞれの話が少しずつリンクしているというよくあるタイプの
構成なのだけど、「二番目の子」だけはつながりがわからなかった。
「二番目の子」は女の子の集団の中での雰囲気がよく出ていて、
途中、ちくちくと胸をさされる気がした。
子どもが友達相手に急にデスマス体でしゃべる場面が
何度か出てくるのだけど、なんだかムカつきます。
こういうしゃべり方する小学生ときどきいるよ!
字面だけ丁寧でもちっとも敬意がこもっていない良い例です。
いちばんおもしろかったのは「夜の音」。
兄がまきこまれたトラブルの顛末を小学生の弟の視点で描いたお話で、
男前なおにいちゃんと、ラストが好きでした。

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