天野純希『北天に楽土あり 最上義光伝 (徳間文庫)』
★★★☆☆3.5
【Amazonの内容紹介】
伊達政宗の伯父にして山形の礎を築いた
戦国大名・最上義光(もがみよしあき)。
父との確執、妹への思い、娘に対する後悔、
甥との戦(いくさ)。
戦場を駆ける北国の領主には、
故郷を愛するがゆえの数々の困難が待ち受けていた。
調略で戦国乱世を生き抜いた荒武者の願いとは……。
策謀に長けた人物とのイメージとは裏腹に、
詩歌に親しむ一面を持ち合わせ、
幼少期は凡庸の評さえもあったという最上義光の苛烈な一生!
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kindle unlimitedにて。
最上義光については、伊達政宗サイドに立った
創作物からのイメージがすべてで、
「伊達政宗の母親の兄で、厄介なおじさん」
くらいの認識しかなく、
最上家がどういう運命をたどるのかも
ほとんど知らなかった。
一代記を一冊でやろうとしたために、
イベントの消化がメインで、
合間にちょこちょこ人物を描くエピソードが
入っているという感じ。
オープニングに娘の処刑を持ってきたのは
どういう意図があったんだろう。
復讐は結局なしとげられないわけだし、
復讐できない、ままならない人生を
描いているというには弱いし……。
このオープニングがなければよかったのに、と思うくらい、
機能していないことによる拍子抜け感があった。
どの息子に家督を継がせるか、という終盤のエピソードも、
報復はするんだけども、全然救われた感じがない。
義光死後に最上家がたどった末路もあいまって
なんだかむなしく、もやもやとした読後感。
でも、よく知らなかった人物だったのもあって
話の流れは興味深かった。