この大物司会者は昔深夜放送のアナウンサーをしていた。自分が中学生の頃、何かしらの番組で自分の通う中学にインタビューにきたことがあった。いつも聴いている番組のアナウンサーなので嬉々とした。彼は我々子供らの代弁者みたいな感じで頼もしかったし、肩のところに小さな穴の開いたセーターを着ていたので妙に親しみを感じたのである。ところが後年TVのバラエティ番組に進出し、スタジオで視聴者のご婦人と軽妙トークで話すやり取りが受けて一挙にスターになった。このころには彼への親しみはまったくなくなっていた。彼を「報道に生きる人」と思っていたので、なんとも裏切られた気持ちであった。実際、彼がおばさまたちの人気を集めスターになったのは「報道番組」ではなく「バラエティ」なのであるから、どう弁解しても彼はバラエティ司会者なのである。<o:p></o:p>