この使い捨て文化のなんでもかんでも使い捨ててしまうというところから、現在では「もったいない」「リサイクル」「環境保全」などということで、今は少し呼び戻しの状態に落ち着いてきたようである。しかしながら医療においては感染防御の概念から医療廃棄物は再生しないで「感染性廃棄物」としてすべて業者に廃棄処理を委託しなければならない。医療材料で再生できるものはほとんどないのである。そのような意味では医療の世界は世の中の流れと逆行しているのかもしれない。自分が父から医院を継承したときに診療所の倉庫をすべて片付けた。洗眼用のフラスコや昭和30年代の古い注射アンプルやオープンドロップ用の麻酔器具などがでてきた。しかしあの自動包帯巻き上げ器はどこをどうさがしても出てこなかったのである。「時代のあだ花」とは言ってしまったが父の輝かしい全盛期に一緒になって活躍してくれた器械である。丁重に供養できなかったのが心残りである。<o:p></o:p>