それにもかかわらず、くだんの記者会見の席上では自分のことを「報道に生きるものとして・・・」と表した。意外であった。自分がここまできたのはバラエティのおかげであろうがそれをすべて否定したのである。報道バラエティ番組では、事件の書かれたボードの上に小さな紙を貼りキーワードを隠しておき、それを効果音とともにめくりながら見せていくという技法がある。これは彼が考え出したものらしい。今では各局どこででもやっている。これは一つの業績かもしれないが、しかしこの技法が彼をだめにした。この方法を用いると視覚的、聴覚的インパクトがあるので事件内容を前もって十分咀嚼しなくても仕事ができてしまうのである。ただボードの文字を読めば事足りるのである。あとは情感こめてメリハリつけて喋ればなんとなく様にはなるのである。彼のプレゼンを聞いていて「あ 今日はこの原稿読んでいないな。ぶっつけ本番でやっているな」とわかることが多かった。定かではないが昨夜の銀座での豪遊を間接的に感じ取らせるものでもあった。