この器械も、程なくして伸縮包帯の出現、およびディスポ製品の出現でお役御免になった。「時代のあだ花」的な医療器械だったかもしれない。世の中のシステムがかわれば次第に廃れていくものはいくらでもある。この包帯巻き上げ器もそうであった。世の中には伸び縮みする包帯(伸縮包帯)が出現したが、この包帯は最初から個人仕様で使い捨てを目的にしたものであった。しかも引っ張れば伸びてしまう包帯なので自動巻き上げ器では巻き上げられない。そんなこんなでこの巻き上げ器の出番はなくなっていった。当時「何回も使い回す」ということよりも、1回こっきりで、そのあとは捨ててしまうという文化がおしゃれであった。高度成長期のことである。良くも悪くもアメリカ文化の影響があった。紙ナプキンやプラスチックのフォークやらを使い捨てるのは手間も時間も省けて先進的であった。そして何よりも自分達が裕福になったと勘違いさせるに十分なライフスタイルであった。