吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

悪魔の証明 その1

2017年04月10日 06時06分55秒 | 日記
 国会で安倍首相が「ないことを証明するのは『悪魔の証明』であり不可能である」といった。つまり総理夫人に寄付行為があったかなかったかということで野党の質問が「総理夫人が寄付などしていないと言うならば、していないことを証明しろ」と詰め寄ったからである。
 でも「ないことの証明」とは確かに不可能である。このような証明のことを「悪魔の証明」というのだと初めて知った。
 例えば100検体の母集団のうち「ある」ことの証明は一つでも事象があれば証明されたことになる。しかし「ない」ことの証明は残り99の検体をすべて検証する作業が必要であり、しかも今後「起こりえないこと」をも証明をする必要があるので、これはほぼ不可能である。
 
 自分の業界でもこの悪魔の証明を迫る患者さんもいる。「関連会社に出向になったが、病気が何もないことを診断してくれないとそこで働けない。会社から病気がないことの診断書をちょっと(医療機関に)行って書いてもらってきてくれと言われた」と来院することがあった。 
 こちらは絶句である。これこそ「悪魔の証明」である。病気をみつけるのも大変である。しかし病気がないことを証明するのは無理である。ガンなどの病気を見つけるのも大変であり、早期の状態で発見などというのも難しい。たまさかガンがなかったとしても「あなたの身体は全くの健康体です」とも言いきれないのである。他に何か病気はあるかもしれない。