吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

会話ができないパターン その8

2019年09月19日 06時24分53秒 | 日記
 7) 表現に比喩などの「変化球」が多いと相手に伝わらない

 患者さんへの説明では医学的な複雑な話をすることも多いが、それでは理解されないだろうとして比喩表現やたとえ話をすることもある。しかしそれが却って誤解されることもある。
 運動不足で関節痛を訴える場合、患者さんは「ぶつけたり運動したりもしてないのになんで痛くなるんですか?」と聞いてくる時がある。その時は「原因は運動不足ですね。車だってずっとエンジンかけなければ錆びてくるでしょう。定期的な運動しましょう」という。これはわかりやすい。

 ところが以前のトラブル例である。数日前に鉄棒から落ちて頭を打った子供の場合であった。元気はよく神経学的所見もなく何の症状もないので問題ない。しかし家族はCTスキャンを希望しているようなのである。でもまったくこれは不要である。
 説明の時に「このくらいの打撲でしたら特に検査はなにもいらないですよ。これで検査が必要ならサッカーボールでヘディングしているお子さんは毎日CTしなきゃいけないくらいですので、ハハハ・・・」と言ったら、なんだか付き添いの祖父(だと思う)がブツブツ文句を言い始めた。そして「うちの孫の頭がサッカーボールとは失礼だ」と言い出したのである。そんなこと言っていない。
 家族は希望する検査が受けられないので不満に感じたのであろう。そうなると言葉尻にでも文句を付けたくなったのかもしれない。比喩表現は時にトラブルになる。