話を聞いただけでインフルエンザの疑いが極めて強い人もいます。しかし今シーズンはなかなか予測が付きません。それは今シーズン予防接種を2回打ったにもかかわらず、インフルエンザに罹患する人が結構多いからです。そして、だらだら微熱がなんとなくあり鼻水、咳、痰が強く、結構元気な人で、検査をしてみるとインフルエンザ陽性だった・・・ということもよくあります。まあ「軽いかぜと思われるが、万が一もあるので検査してみましょうか」といってやった検査の結果で驚かされることがよくありました。今年のインフルエンザが非定型的なのか、あるいは自分の診たてがヘボなだけなのか・・・? 後者かなぁ~?
先週もインフルエンザの発症者がほぼ毎日、最低一人は外来にこられた。最低一人であるから、多いときは3人くらいもの発症者はいた。なるべく院内感染を防ぐためにも、疑わしい人は待合室ではなく奥の処置室に横になっていただくようにしている。うちのクリニックは比較的強力な換気扇を使用しているが、でも窓をあけるなどして対応している。特に症状では前日までほとんど普通の状態であったが、他の症状なく当日からいきなり38℃台の熱が出ました・・というのは極めて怪しいですね。
昨日、内視鏡修行時代の仲間の先生からメールが入った。「えっ、M島 先生、亡くなったんですか?」と、自分たちの内視鏡のお師匠さんのことだと思ったらしい。昨日まで別の「M先生」の件を書いていたが、同じMのイニシャルでも、人が違いました。伏せ字トークはこのような誤解を生じやすいのでいけませんね。これから書くのはやめましょう。お騒がせしてすいませんでした。
もちろん彼も人間である。好きな人もいれば嫌いな人間もいるだろう。しかしとにかく人の長所を見つけたら徹底的に褒めまくる手段は(特に意図的な手段ではないであろうが)、最後には相手の脳内にエンドルフィンをもたらすようである。だからたぶん彼のスタッフからの信頼は抜群であったろう。自分はM先生のように徹底してそこまではできないが、とにかく大いに見習う必要がある。人の掌握術というのは案外こういうことなのかもしれない。自分は彼の直属の部下になったことは一度もない。でも「本当に彼にはお世話になりました」と不思議に今でも自分は思っているので、これは彼の術中に嵌っていることになる。やっぱり彼は人生の達人だった。まさに天才とは早逝するものなのであろうか・・・・? 合唱
やたら自分の長所と思われるところをほめられると最初はこそばゆくなるが、そのうち「この人、本当は分かっていないでただ口先だけ言っているのじゃないか?」とか「本当は小馬鹿にして、からかっているのじゃないか?」とか怒りにも似た疑念をもつようになるのである。しかしM先生の凄いところは「褒める手を緩めない」ことである。徹底的に褒め続けられると、自分でも本当にその気になってしまうから不思議である。
M先生のすごいところは、絶対に人の悪口や陰口を言わないことであった。時には他のスタッフのことでぼやきたくなることもあろうかと思うが、そんな言葉は今の今まで一度も聞いたことはなかった。彼が人の話をするときは必ず褒めまくるエピソードしかありえなかった。また相手にむかってもいつもその人の長所を「徹底的に」褒めちぎるのである。これは自分がいわれても、また人を褒めちぎっているのを傍で聞いていてもどちらでも、最初はとてもこそばゆくなる。
昨年末、自分が大学医局時代に随分とお世話になったM先生が急逝された。1月24日に大学の教室葬が行われた。救急医には珍しく?ダンディな先生で、バーのカウンターでキャメルをふかしながらウィスキーのストレートを飲るような先生だった。酔ってはよくカンツォーネを高らかに唄い、とても明るいお酒だった。そしてとにかく患者さんにはとても受けがよく、また患者さんのみならず、一体どこで知り合いになってくるのか一般の街の人からも厚く信頼されていた。まさに名医というよりも良医であった。とても残念である。
年が明けたと思っていたら、もう2月。早いものです。まだまだインフルエンザが猛威をふるっています。今年は予防接種をしていても罹患する人があとをたちません。かる~い熱発だけど念のため検査してみるかな~と検査してみると、これが陽性に出ることも多いです。今年のインフルエンザは症状だけではなかなか判断が付きません。「インフルエンザ陽性でしたよ」とお話しすると「えっ? そんなつらい症状ではないですけど、インフルエンザなんですか?」と不思議に思う方も多いでしょう。