吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

坂東三津五郎さん その3

2015年04月10日 06時11分10秒 | 日記
 さてフグ中毒の8代目坂東三津五郎さんも、今この現代で、どこかの救急病院に搬送されていたならきっと死ぬことはなかったろうにと思うのである。まあでも当時の医療水準や救急医療体制などを考えるとやむを得なかったかもしれない。あるいは救急車を呼ばなかったという話もうわさで聞いた。よく「〇〇中毒」などというと種々特殊な治療薬が必要な場合も多いが、このフグ中毒は基本的に人工呼吸さえ継続させていればいいのであるから、救急隊のバッグマスク換気だけでも急場はしのげる(まあ当時、バッグマスク換気をできる救急隊員はいなかったと思うが)。あるいは極端な話、口対口人工呼吸でもしていれば心停止までは至らなかったかもしれない。
 おそらくこれだけ一般人に心肺蘇生の技術がひろまった現在では、おそらくたやすくフグ中毒では死なないと考えるのであるが。まあ、もっとも自分で調理しない限りフグ中毒が発症する確率はないのであろうが・・・。

坂東三津五郎さん その2

2015年04月09日 05時29分07秒 | 日記
 自分が救急医療をやっていた時に、一度だけフグ中毒の患者が搬送されたことがあった。もちろん料理店での飲食ではなく、自分で釣ったクサフグを自分でさばいて食べたのであるが、「口がだんだん痺れてきた」と救急車を呼んだのである。ちょうど自分が当直の時であり、「めったにお目にかかれないフグ中毒」ということで、不謹慎ながらワクワクした記憶がある。なーに治療法は簡単である。気管挿管+人工呼吸器管理でいいのであるから難しくはない。
さて、患者が搬送されて拍子抜けした。単に唇が少し痺れているだけなのである。呼吸筋麻痺はなく、呼吸状態も十分であり、血液ガス分析でも異常値はない。もちろん患者の状態が軽症であるのは喜ばしいことではあるが、すこしだけ「う~ん、なーんだ」という感情もあったことも否定できない。これでは「フグ中毒」としての治療などは全く必要なく、結局患者は翌朝、元気に歩いて帰宅していったのである。
表現は不適切であるが、ランナー2、3塁、一打逆転サヨナラの場面で、自分に打席が回ってきたのであるが四球敬遠されたような思いであった。まっ、でも自分は敬遠されるほどのバッターでもないのだが・・・。


坂東三津五郎さん その1

2015年04月08日 05時18分23秒 | 日記
 少し前であるが10代目の坂東三津五郎が亡くなった。この「坂東三津五郎」と言う名前でいつも思い出すのは、たしか8代目だったと思うが、先々代の坂東三津五郎のフグ中毒死である。当時、自分はすでに医学生であったが、フグにあたったと聞いて、フグを食べるのは生死をかけてまでの覚悟を持たないと食べられないのかとゾッとしたものである。まあ当時自分はフグなどを食べたことはなく知らなかったこともあるが、あれは毒素が含まれるフグの肝を自ら食したことによるフグ毒死である。坂東三津五郎が自ら希望して食べたわけであるが、当時の調理人は肝を提供したことで有罪になったらしい。このあたりのいきさつは自分の記憶にはない。しかし以降医者になり、救急医療を専門にしていたころはフグ毒は呼吸筋がマヒして「呼吸ができなくなるだけ」であるため、気管挿管して人工呼吸器管理にしておけば、あとは呼吸筋麻痺が自然に回復するまでただ「待てば」いいのであると知った。

桜の寿命 その2

2015年04月07日 06時04分02秒 | 日記
 さて桜の木の寿命と言うのは、つい最近知ったのであるが、70~80年らしい。幹の中が空洞になって倒れやすくなり危険なので、どこかで街路樹としての桜をほとんど切り倒したというニュースをみた。その時に「桜の寿命」を初めて知ったのである。よく都内でも「桜の名所」などと言われているところがあるが、特に飛鳥山公園などは江戸時代から桜の名所である。「江戸時代から」などといわれると、つい「ああ、江戸時代からの桜の木なのか」と思ってしまう。たぶん江戸時代からの桜の木は一本もないのであろう。でも例えば奈良の吉野の山の桜はどうなのであろうか? 山全体が桜の木で埋め尽くされているが、これは誰かが定期的に植え替えているのか、あるいは放置してそのまま枯れる木もあれば新しく自然に生えてくる桜の木もあるのか? 不思議である。でも名所は名所で、その維持管理は大変なんだろうなと今更ながらに感じた次第である。

桜の寿命 その1

2015年04月06日 06時33分35秒 | 日記
 今年も、桜は見事な開花を各地で見せてくれた。パッと咲いてパッと散るのは昔から、儚い、潔いなどと言われているが、確かにその繚乱模様と数日後の葉桜になる変貌ぶりには驚かせられるばかりである。しかしながら今年はあっという間に満開になって、あっという間に散った感がある。しかも天候もグズグズであったので、「快晴の青い空にピンク色の咲き乱れる光景」があったというイメージはない。
近くにソメイヨシノで有名な染井墓地がある。ここの桜も見事である。お墓であるので、ここで花見客の宴会大騒ぎがないのがよい。坂口安吾の小説に、咲き乱れる桜の満開の下には死体が埋まっているとあったが、その通りである。もっともお墓なので死体というより人骨であるのだが・・・。

美濃加茂市長の逮捕、勾留 その3

2015年04月04日 05時47分04秒 | 日記
 証拠隠滅のおそれについては、その可能性は否定できないものの病院事務職員などによるカルテ管理があるので、複数の事務職員がいる医療機関であれば改ざんは不可能であろう。最近の電子カルテになればなおさらで過去カルテの書き直しは難しいし、改ざんしたとしてもログに残ってしまう。さて美濃加茂市長の勾留であるが、これもまさに「その必要性」がどの程度あったかは極めて疑問の残るところである。毎日公務もあるし、衆人環視であるので逃亡しても(するわけはないが)すぐに見つかるだろう。また証拠隠滅なども周囲に各部署の担当者がたくさんいる中で隠密裏にことをすすめるのは不可能である。そのような市長職にあるものを拘束したことで公務が停滞し市民に対して多大な不利益を与えたことは容易に想像ができるのである。市民の安全と財産をまもる警察職にあってはバランスのとれた判断が必要であろう。逮捕イコール勾留という図式は全例に適用されるものではないはずである。この勾留を決定した機関に対して不利益を被った市民が責任を追及するという流れがないことが残念なのである。

美濃加茂市長の逮捕、勾留 その2

2015年04月03日 05時38分12秒 | 日記
 地域医療に毎日、毎晩携わっている医師は、そう簡単にその医療機関を離れるわけにはいかない。たった1~2日の学会出張であっても、数か月前から調整しているのである。亡くなった患者さんのご家族にすれば逮捕、勾留は当たり前のことと思われる。被害者感情からすればやむを得ないものとも思われる。しかし勾留の要件としては、①住所不定であること、②証拠隠滅の恐れがあること、③逃亡の恐れがあること等である。しかし勾留を適用するには「勾留してえられる利益と不利益を比較して判断すること」といわれているらしい。上記の医師の場合も身柄を拘束されて、その病院の産婦人科機能は停止した。地域における不利益は多大なものがあったと思われる。またこのような一人で働いている(いわゆる一人部長)では、「医師であれば」地域に対する責任があるので病院からどこかへ逃亡するおそれはない。

美濃加茂市長の逮捕、勾留 その1

2015年04月02日 05時36分53秒 | 日記
 少し前であるが、若き美濃加茂市長が収賄の疑いで控訴され裁判になった。結果的には無罪と言う結果であったが当初は逮捕、勾留されていたらしい。逮捕はいいとしても、公的立場の職にあり衆人環視の職場にあるものを勾留する意味はどこにあるのか疑問を感じざるをえない。昔、福島県の大野病院というところで産婦人科医師が逮捕、勾留された。この裁判も結果的に無罪にはなったがこの医師のその後の人生を大きく変えてしまったものであろう。我々医療人には衝撃的な事件だった。この事件は(医療事故は)、前置胎盤かなにかで帝王切開の手術中に産婦がなくなったものである。手技上あるいは管理上のミスを理由に逮捕、勾留されたのである。

ズンズン運動 その3

2015年04月01日 06時00分30秒 | 日記
 医学的に効能があるのかどうかの証明は、母集団から膨大な数の症例を無作為に抽出し、施術をした群と施術をしなかった群で「免疫」「夜泣き」などの項目に差がでるかを比較しなければならない。しかもこの2群のグループ間の背景に「違い」がないことも最初に証明しておかなければならない。というのはどちらか片方の群の中に「免疫不全」の病気をもつ乳児が何名かまぎれていたら、最初から結果にバイアスがかかることになる。もちろんこのような研究もなされていないにもかかわらず、医学的効能をうたっているのは、世の中にある眉唾物のサプリメントとおなじなのである。さて今回、死因との関連が明らかになるかどうかはわからないが、明らかに首を背中側の真後ろに捩じり回すという動作だった。これでは頸髄損傷にて呼吸停止するだろうなと感じた次第である。タイガーマスク三沢光晴はリング上で亡くなった。好きなレスラーだった。またスーパーマン、クリストファー・リーブだって頸髄損傷で首から下は動かなくなった。不死身のヒーローだって敵わないケガなのである。乳児だったらひとたまりもない。