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心に映りゆくよしなしごと書きとめどころ

雨の日のドラマ  ふゆこさんのうた

2009-06-23 01:25:50 | よしなしごと
 雨の日は何かうら哀しいなどといい歳こいてほざく奴がいたら、まあなんという単純で紋切り型な奴だろうと思う。ましてやそれが自分だったりすると、「けっ、馬鹿じゃないか」と思わず罵りたくもなろうというものだ。
 ほら見ろ、雷だってゴロリンゴロリンと笑っているじゃないか。

  
             カボチャですが、何か?

 だいたい気象条件と自分の気分とをストレートに結びつけるなんて余りにも浅薄で芸がなさ過ぎる。まあ、しかし、「雨もまた楽し」とか、「空は晴れても心は闇だ」というのもどこかきざな台詞ではある。

 てなわけで、ありもしないおのれの内面なんてものの幻影に落ち込むと、不定愁訴の塊のようになって老人性鬱に引きずり込まれること必定だから、まったく関係のない近影の写真など散りばめてお茶を濁すことにしよう。

  
  ハルジオン(春紫苑)の群生 こんなにきれいなのに泥菊などと呼ぶなかれ

 とはいえ、無為に過ごしたわけではない。
 Yさんから借りたCDから、パソの iTune にダウンロードしておいた古いラジオドラマを再生して聴いた。
 1987年のNHK制作のドラマ『止まってしまった時計 モーレンカンプふゆこのうた』である。
 一宮市の出身で若くして渡米し、現在はオランダに在住する歌人にして俳人の前半生を描いたドラマである。

 劇中の雰囲気と外の雨音とがしばしばオーバーラップして、奇妙な雰囲気を醸し出す。
 後半に気になる部分があって、最後から20分ぐらい(全部で60分)を繰り返して聴く。
 何が気になったかはここでは述べないが、さいわい、現在来日中の彼女と明後日には会えるかも知れないので、機会があったら直接訊いてみるつもりだ。

  
           田圃の脇の立派なガクアジサイの株

   国を出でし時止まってしまった我が時計巻いても巻いても二十二歳
   五月晴れ家出国出の太平洋駆け切る波は無限より来し
   異文化の壁に囲まれ独房の刑受けるごと祖国捨てれば

            モーレンカンプふゆこ歌集『還れ我がうた』より

 おまけにもうひとつふゆこさんのうた
  
   夏の日の動物園も冷雨なり檻のゴリラも遠き眼をもつ

  
      上のうたのゴリラはまさかこんな風ではないでしょうね

   病院の窓辺にあれば剽軽を縫いぐるみたるゴリラ密けき   六
 

コメント (4)
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