手紙とはがきを書いた。
手紙の方は依頼されて同封した文書の説明であるが、おせっかいにも自分の感想などを書いてしまった。
事務的に頼まれた文書だけを送ることが出来ないのは性分なのだろう。
問題ははがきの方だ。
こちらは手短かに済む用件だったので絵葉書風のものを出した。
切手を貼らねばならない。
この4月以来、2円が必要なのは心得ている。
で、ちゃんと「所定の」切手に加えて2円切手を貼った。
さて、これらを出しに行こうとして玄関を出たところで点検をし、とんでもないミスに気づいた。
なんと、手紙につられて、ハガキの方にも80円切手と2円切手を貼っていたのだ。
「ん、ん、ん」と思いながら迷った。
たかが30円のことだからこのまま出してもいいという思いがあった。
しかし一方、このまま出すと「あいつもついにボケたか」といわれるのもシャクだという思いもあった(事実、こんなことをしたのはボケた結果なのだが)。
右せんか左せんか、自称ハムレットは玄関先で迷いに迷った。
そのおり、60年ほど前の切手収集少年だった私が、やかんの蒸気に切手を当てて剥がす技術を駆使していたのを思い出し、よし、ダメ元でいいからやってみようと引き返した。
結果をいえば、成功だった。
やかんの口から出る蒸気に当てると、80円切手はウソのようにするするっと剥がれた。絵はがきそのものにも何ら損傷はない。
80円切手を剥がしたあとに素知らぬ顔で50円切手を貼った。この葉書の受取人はそんな作業がなされたものとはつゆ知るまい。ただし、この葉書の受け手の復数の友人たちがこの記事を読んでいるはずだ。
かくして、それらの手紙をポストに入れ、帰ってから二回目の桑の実の収穫にとりかかった。先に来ていた椋鳥が非難がましく鳴き喚くなか、熟しきった実を選んでざるに入れる。
そのとき、何かが目の端で動いた。ん?と思ってよく見るとカメムシだ。桑の葉と同じような色合いだから、動かないとそれだとはわからない。
わずか1センチ前後の大きさではあるが、彼らは別名「屁◯◯虫」といわれているほどの悪臭を放つ。それは天敵を防ぐ「ため」だというのが通説だが、動植物の「なになにのため」というのは眉唾が多い。
そんな目的意識などはさらさらなく、たまたまそうした遺伝的特質を持ったがために生き延びたというのがせいぜいのところだろう。
ちなみのに、この屁こき・・・、あ失礼、カメムシ、閉所に入れて刺激をし、その臭いを出させたところ、自分自身が失神してしまったというから実に面白くて可愛いではないか。
ここに載せた写真は、それぞれ10センチ内外にまで接近して撮ったものだが、私の指に這うまでしたにもかかわらず、どんな臭いをも発散しなかった。
たぶん、私を仲間だと思ったのではないだろうか。
きわめて光栄なことである。
手紙の方は依頼されて同封した文書の説明であるが、おせっかいにも自分の感想などを書いてしまった。
事務的に頼まれた文書だけを送ることが出来ないのは性分なのだろう。
問題ははがきの方だ。
こちらは手短かに済む用件だったので絵葉書風のものを出した。
切手を貼らねばならない。
この4月以来、2円が必要なのは心得ている。
で、ちゃんと「所定の」切手に加えて2円切手を貼った。
さて、これらを出しに行こうとして玄関を出たところで点検をし、とんでもないミスに気づいた。
なんと、手紙につられて、ハガキの方にも80円切手と2円切手を貼っていたのだ。
「ん、ん、ん」と思いながら迷った。
たかが30円のことだからこのまま出してもいいという思いがあった。
しかし一方、このまま出すと「あいつもついにボケたか」といわれるのもシャクだという思いもあった(事実、こんなことをしたのはボケた結果なのだが)。
右せんか左せんか、自称ハムレットは玄関先で迷いに迷った。
そのおり、60年ほど前の切手収集少年だった私が、やかんの蒸気に切手を当てて剥がす技術を駆使していたのを思い出し、よし、ダメ元でいいからやってみようと引き返した。
結果をいえば、成功だった。
やかんの口から出る蒸気に当てると、80円切手はウソのようにするするっと剥がれた。絵はがきそのものにも何ら損傷はない。
80円切手を剥がしたあとに素知らぬ顔で50円切手を貼った。この葉書の受取人はそんな作業がなされたものとはつゆ知るまい。ただし、この葉書の受け手の復数の友人たちがこの記事を読んでいるはずだ。
かくして、それらの手紙をポストに入れ、帰ってから二回目の桑の実の収穫にとりかかった。先に来ていた椋鳥が非難がましく鳴き喚くなか、熟しきった実を選んでざるに入れる。
そのとき、何かが目の端で動いた。ん?と思ってよく見るとカメムシだ。桑の葉と同じような色合いだから、動かないとそれだとはわからない。
わずか1センチ前後の大きさではあるが、彼らは別名「屁◯◯虫」といわれているほどの悪臭を放つ。それは天敵を防ぐ「ため」だというのが通説だが、動植物の「なになにのため」というのは眉唾が多い。
そんな目的意識などはさらさらなく、たまたまそうした遺伝的特質を持ったがために生き延びたというのがせいぜいのところだろう。
ちなみのに、この屁こき・・・、あ失礼、カメムシ、閉所に入れて刺激をし、その臭いを出させたところ、自分自身が失神してしまったというから実に面白くて可愛いではないか。
ここに載せた写真は、それぞれ10センチ内外にまで接近して撮ったものだが、私の指に這うまでしたにもかかわらず、どんな臭いをも発散しなかった。
たぶん、私を仲間だと思ったのではないだろうか。
きわめて光栄なことである。