- わが家から数百メートルのの箇所に所要で出かける。あまり来なかったり、来てもしげしげとあたりを見渡したりしない場所がけっこうある。
帰途、多少の回り道をしながら散策。
この田植えの時期しか配水されない水路に、カルガモが一羽。どうやら母鳥から独立したばかりの若い個体のようだ。なんかドギマギして落ち着きがない。私が接近したせいもあるが。
近くの生け垣に、埋もれるようにして咲いているクチナシを見つけた。
そういえばかつて、わが家にもクチナシがあった。入手した経緯も覚えている。半世紀以上前のサラリーマン時代、大きな背負い籠(通称:ショイカゴ)を担いだ女性二人が会社のオフィスにやってきた。
訊けば山口県からやってきた行商だという。ショイカゴから食い物など含めた山口の物産をいろいろ取り出し、買ってくれという。
たまたまオフィスにいた社員が、好みに応じてさまざまなものを買った。その折、私が買ったのがクチナシの苗であった。二株ほど買ったその苗は、その後、今頃になるとかぐわしさとともに白い花を付け、わが家の庭を賑わしていたが、いつの間にか、他の植物に侵食されたのか、姿を消してしまった。
会社のオフィスに、地方からの行商の人たちが気軽に立ち寄った古き良き時代を思い出した次第だが、その折気づいたことに、その女性たちが話す山口弁が、「~しやぁ」とか「みやぁ」とか「~だぎゃ」とか、それに「~しんさい」という名古屋弁や岐阜弁にも似ているということであった。
それをその女性たちに話すと、「この地区ではよくそう言われるんですよ」と言っていた。
最寄りの幼稚園を通りかかる。家の子どもたちも行っていたところだ。その横にある駐車場も、幼稚園の雰囲気を備えていて微笑ましい。
近くにある国道21号線の交差点に差し掛かる。ここは、郊外近くを走る国道と、岐阜市内中心部を結ぶ道路の交差点で、けっこう交通量が多い。将来の高架化が計画されているが、その完成時には私はもうこの世には居まい。
広い道路から集落の中に入って進むと、水路の端にイグサの群生を目撃する。これは随分前に見かけたことがあり、この辺の自然環境が激変するなか、「おう、お前無事で生き延びていたか」と声をかけたくなるくらいだ。
ちなみに、イグサの和名は「い」であり、これに「草」がくっついて「イグサ」なので、和名としては最も短い植物となる。都市でいえば「津」が短いのと同じだ。
次はすぐ近くの洋菓子屋さんの駐車場のエントランス付近のミニ庭園。何となくそれらしい雰囲気が出ている。
帰宅。最後はわが家の紫陽花。今年は赤が例年に増して鮮やかなような気がする。
これだけ歩いても5,000歩しか稼げなかった。