きっと、いいことあるよね!

母(sake)と息子(keke)の日々の記録。
お出かけ写真と料理など。

先生から嫌われても

2006-10-19 | 父の記録と母の思い出
みのさんの「朝ズバ」で教師のイジメ問題を取り上げたら、ぞくぞく便りやメールが届いているらしい。「実はうちの子もこう言う目に遭いました」と言う内容のものである。


そう言われて思い出すのは、私の何年もの学生生活の中で一人だけイジメとまでは言わないけれど、それに近い担任がいたことだ。小学生の時で出産から戻ってきたばかりの担任だった。

当時の私は、保育園のお残りゲロによるイジメから、徐々に人権を取り戻しつつある時代であった。しかし、相変わらず私の感情はもわぁ~んとした暗いヴェールに包まれて、喜怒哀楽のないまま小学校で楽しい記憶が無いのであった。

ある日何がきっかけだったかは分からんが、担任がクラス全員に怒って説教を始めた。そして、それがどう言うわけか、私が呼び捨てで怒られたのである。
これがあまりに唐突で、何故自分が吊るし上げられたのか、良く分からないままなのであった。しかし、私がドキッとしたのは、その時の担任のポーズである。

その時、その担任は教壇机に頬づえをついて、小指を動かしていた。それは私が親によく怒られる普段の変な手癖だったのである。

「この人、私を意識(=嫌って)している!!」

私はそれから、自分は担任から嫌われているのではないか、と言う疑いを持ち始めた。そして、幾つかそれが怪しまれるような出来事があったのだが、それはもう覚えていない。そしてそんな事があっても、私は相変わらずもわ~んと感情が無いまま仕方なく学校に行っている状態を続けていた。

しかし、ここで極めつけな事件が起こった。
それは忘れもしない、最後のクラスのお別れ会をするに班決めをすることになった時のこと。担任が「それではみんなで自由に好きな人と班を作りましょう~」と言って、みんなは席から立ち上がり、あちこちでグループを作ったのである。

そして私は、と言うと、その時「一緒に班になろう」と言ってくれたのが、これはこれは男の子も女の子も私が好きなイイ友達ばかりで、(と言うのもあのゲロ時代以来、私をからかう自覚ないバカが地雷のように幾つかクラスに居たのである)私は本当にハッピーで、この班だったらきっと楽しい出し物ができるに違いない!と確信した。

そして、たまたま運悪くその時に担任と視線が合ってしまった。
すると、どうなったか。
彼女は私が楽しそうにしているのを見るや睨むと、手を叩いて、こう言ったのである。

「ハイハイ、やはり班作りは先生が決めます!みんな席に戻って!」

この瞬間、間違いなく「自分は担任に嫌われている!」と確信をもって、私は背筋が凍るほどゾッとしたのであった。

しかし、私にとってすごくラッキーだったのは、これがもう3学期の終わり・・つまりもうすぐクラス替えだったと言うことだった。
この事はショックだったけれど、私は誰にも言えなかったし、ただ学校にさえ行って我慢すればいいや、と思った。そして、当時の座右の銘【まさか命までは取られまい】と心でつぶやいたのである。(この座右の銘は、鉄棒や跳び箱やマット運動の時間の前に特に威力を発揮するのである)

しかし、謎は残った。
私は後にも先にも、給食ゲロ以外は先生に嫌われるような問題行動は起こさない子であった。授業中も騒がないし、普段もふざけないし、言われた事はちゃんとするし、勉強ができた。活発ではないから好かれもしなかったが、人畜無害タイプ・・・先生からは一番扱いやすい・・・特別目の敵にされるような子ではなかったのである。この後も私は先生から好かれる事はあっても嫌われる事は二度となかった。
私はこの件を思い出すたびに恐ろしいやら不思議やらで、最後に「きっと、あの人は育児ノイローゼだったんだろう」と結論付けるのであった。


      ・・・・・・

そして、その謎が解明するのは、なんとその20数年後・・・
母と酒を飲んでいる時に、母が私に「お前、○年生の○○先生に酷い目にあっただろう、ごめんね」と懺悔したのであった。

「え!!なんでその事を知ってるの?!」
「そりゃ、分かるよ。お前の通信簿を見れば。あの先生の時だけ成績がめちゃくちゃだったからね、おばあちゃんと言ってたんだよ。これは絶対におかしい、って。あれはお母さんのせいなんだよ。」
「え!!なんで?」

で、母の説明によると、最初の保護者会の最後に「それでは他に何かありますか?何でもいいですよ。」と担任が言ったので、母が手をあげ、「漢字練習の時に筆順も学校で教えて欲しい」と申し出たそうだ。(と言うのも、わが母は家で子供に習字を教えていたのだ)

「それで・・あの先生はお前にひどくあたったんだよ。あんな成績じゃ、きっと普段も嫌な事があったろう。」
「・・・・あぁ・・いろいろね。。。でも、そうだったんだ・・・ずっと疑問だった謎が解けてほっとしたよ。」
「何でもいいから言ってくださいって言ったから、言っただけなのに。あれでお母さんは思ったんだよ、子供は人質だって。お前もkekeの先生にでしゃばった事をしてはいけないよ。」
「あぁ、もちろん分かってるよ。あの後、あの先生、交通事故に起こしたんだよね、お母さんとおばあちゃんが喋っているのを聞いちゃったんだ。それで天罰だと思ったんだよ~w」
「そうだよ~すごく(教員らしからぬ)派手な豹柄のシャツ着てたんだって。」
そう言って、親子で笑った。

私は理由がわかって、本当に嬉しかった。
だって、それは私自身が原因ではなかったから。

先生から嫌われても、私が悪いわけではなかったから。