きっと、いいことあるよね!

母(sake)と息子(keke)の日々の記録。
お出かけ写真と料理など。

父とカラオケ

2006-11-03 | 父の記録と母の思い出
今日も妹が一日町内会の催しで出かけてしまうため、父に付き合うことになった。(デイサービスも今日はないそうである)
 
妹の話では「昨夜、父は友達と会うので1万円持って行ったから、それが何千円も残っているはず」との事である。何が言いたいのかと言うと、サイフに何千円も入っていると、又目を盗んで飲みに行ってしまうから、なるべく父のサイフで昼食を食べてほしいと言う意味である。

実家に着くと、さっそくオムツの宅配便が届いてた。
とりあえず私がお金を払っておいた。
父は、「今のは幾らだ?」と言いながら、財布が無い無いと探し回っていた。幾ら経っても無いようだ。
(もしや昨夜、またサイフを落としたんじゃ・・・妹に言わなくては)

父によると、デイサービスは楽しいらしい。
役所の人(たぶんケアマネさんの事だろう)も親切でいろんな所を紹介してくれるそうだ。
ただ「最近、外で歌うのはやめた」そうである。「どうして?」と訊くと、「一度歌うと、みんながもっと歌ってくれとうるさいから。」だそうだ。歌うと目だってしまうので、あまり歌わず、たまに変な歌を歌うのだそうだ。(ほんとかいな)

「変な歌って何の歌?」
「コーヒールンバ。」

父の言う「コーヒールンバ」とは井上陽水の歌であり、1番は歌詞通り普通に歌うが、2番は替え歌で薬の名前を♪アリナミン、エスタック・・・ベンザ♪と延々と並べるのである。父はこの歌を観客にウケていると思い込んで歌っているが、本当にウケているのかどうかビミョウである。毎週この歌を聞かされて「面白い面白い」と言ってもらっているのかと思うと、更にビミョウである。

それから二人で近くのカラオケボックスに行った。
私は忘年会に備えて「タイヨウのうた」を歌うも、父がアクビばかりしてつまらなそうなので、急遽父の知っている歌に変えた。

父は「コーヒールンバ」「RUN(長淵剛)」「冗談じゃねぇ(堀内孝雄)」を歌っていた。それ以外は「次、何歌う?」と尋ねてもタイトルが出てこない。

「夜よ泣かないで」のタイトルが出てこなかったのは、ショックだった。
半年前ぐらいは普通に歌ってたのに。。。

私は思い出してもらおうと、父が昔よく歌ってた歌を幾つも入れた。それで私が歌うのが不満だと、父は自分に歌わせろと言うのである。

<2番は父に歌ってもらった歌の記録>

★ダンスはうまく踊れない(井上陽水)
★ブランデーグラス(石原裕次郎)
★TAXY(鈴木聖美)
★悲しい色やね(上田正樹)
★愚か者(近藤真彦)
★22才(谷村新司)
★哀しみのスパイ(小林麻美)
 
歌が20年前の歌ばかりであるのは仕方ない。私が両親とカラオケ三昧してたのはその時代なのだから・・・。こうしてみると、認知症になっても歌は思い出しさえすればしっかり歌えるようだ。
 
父は「昔の歌を思い出して楽しかった」と言った。
昔の歌・・?
たしかに20年前の昔の歌。
でも、私の心の中ではこの時代の歌がまだ「昔の歌」にはなっていないのだった。今でもその延長上にいるような気がして。むしろ90年代の歌の方がよっぽど「昔の歌」なのだ。

たぶんあの頃がとても楽しかったから、今でも手元に置いておきたいのだと思う。
あの頃はこんな日が来るなんて、想像もつかなかった。
今はこれだけ介護介護と言われているから、今の若い人はやがて【こんな日】が来るのを覚悟できているんだろう。

そして・・こうして父はどんどん忘れていって、そのうち何も歌えなくなる日が来てしまうのだろうか。それは避けたい。


そして、私は父の家に戻った。
しばらくTVを観ながら、やはり気になったのでサイフの事を尋ねてみた。
「あのサイフ・・おじいちゃん、昨日無くしちゃったのかなぁ」
「サイフ?ここにあるよ。」

父は平然と、サイフをズボンのポケットから出してきた。
「サイフあったの?!
「うん・・・・あれ?お金がけっこう入ってるなぁ」

おかしいなぁ・・・朝からズボン履き替えて無いのに。。。。(ーー;)
あのサイフを探している姿は演技だったのだろうか。。

それも妹に報告しておこう。


【写真】
先週買った、オレンジページ。
銀行での立ち読みで、煮物がおいしそうだったので、つい買ってしまいました。
タイトルをよく見ると【男子の夢をかなえます、こくウマがっつり煮物】と書いてあった。