休み明けから来なくなった社員さんから作業着や保険証が届く。
そこには手紙も入っていて、月並みな謝罪の言葉と、最後に「離職票を送ってほしい」という内容が書いてあった。
理由は「私用」という一言だった。
封が開いていない作業着を見て「kekeと性格が似てる」と思う。ズボンを穴があくほど履いているのに、新しいものはまだ開けていなかったのである。
そんなキュンと言う気持もありながら、しかし彼は「離職票」がほしかったのかもしれない。保険証も退職手続きが進まなければ新しいものが作れない。それに気づいて送ってきたのかもしれない。
分からない。
夏休みのあの秀クンの態度も思い出す。魚にエサをあげるのに会うのも秀クンが来ないような時間にやりに行ったこともある。あの彼の態度にも原因があったのでは?!と思ってしまう自分もいるが・・・しかし連絡もないのはいかがなものか。
そう思いながら、最後はこんなもんか・・・・と私は思う。
もうこれでオシマイさ、と思えば何にでもなれるのだ。
都合が悪くなればもう折り返し連絡することもなく・・・・。
人は自然に甘いもの甘いものにつられていくように、面倒なものうっとおしいものは、自然と遠のくのだ。
そういうものだから、彼もまたそうだったのかもしれないし、他の事情があったのかもしれない。
どうしてそうなったか。
それを知ったところで何になる?
そう、人は自然に甘いもの甘いものに吸い寄せられ、その障害になるものは受け付けない。
そうなった時、彼らは彼らの道理を生み出す。
ルールなんて関係ない。
人の気持なんて関係ない。
自分の感情が全てだから。
それを想像することに意味はない。
社会のルールで踏み越えていくだけさ。
そしてそんなことも、やがては風化していくだろう。
彼らは彼らで自分に都合の悪いことは忘れたりして生きていくだろう。
なかったことにするだろう。
そんなものさ。