いつもお世話になる「上妻文庫」だが、それぞれのページに小さな火が燃えている油皿の印形が押されている。私達は当然の如く「上妻文庫」と呼んで親しんでいるが、本当は「秉燭雑録」である。「へいしょくざつろく」と読むのであろうか。「秉燭」とは印形にある、「油皿の中央に置いた灯心に火をつける灯火器具」である。このような灯火は今では全く見ることは無いように思うが、かつて神社あたりで見受けたような気がする。灯心のことを私は「とうしみ」と呼んでいた。井草の皮を剥いた柔らかな心(芯)に、油を吸わせそれを燃やすというわけだ。当然ながら家庭で使うというような代物ではないが、どこかで見たのだろうか。で無ければ「とうしみ」などという名前も覚えるはずはない。「秉燭」は「ひょうそく」とも「ひんそく」とも読むらしいが、辞書をひも解くと「秉燭夜遊=へいしょくやゆう」という言葉がある。「灯火を灯して夜まで遊ぶ」という事らしい。上妻先生は実に437冊に及ぶ膨大な写本を、熊本県立図書館に寄贈されているが、数十年にわたり夜遅くまで写本にいそしまれたと伺っている。正に「秉燭夜遊」の生活であられたらしい。そしてその光をもって、われわれ愛好家や研究者を導いて下さっている。
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