他愛の無い事だが、ここ数日間頭から離れない事がある。夜は寝付けない有様なのだ。「めだか」とか「タナゴ」を飼ってみようと思うのだ。知人との会話の中で昔話となり、そんな話となった。もう十四・五年にもなろうか、釣果の小魚を飼ったりした事がある。水がよごれては替え、石が汚れては取り出して掃除をしたりして、自分では随分務めたつもりだが、よく考えてみると、「お魚さん」のためにはチットモよくなかったらしい。一年程で全滅してしまった。「めだか」は産卵した卵を食べてしまうので、隔離しなければならないし、「タナゴ」は二枚貝に産卵するのでそんな準備をしなければ増やす事は出来ないのだそうな。趣味の店で揃えるのではなく、あくまで天然物で行きたいので、「ああしたい・こうやろう」と思って寝付けないのだ。目的地は少年時代の思いで深い江津湖周辺だ。「タナゴ」などは、今では絶滅危惧種だという。産卵の為の二枚貝が少なくなったからだろうか。「めだか」はなんとか居るだろう。爺の夢は夜開く。
細川光尚が亡くなって後、その寵臣とも言われた林外記が、佐藤傳三郎に討ち果たされた事件の種々の記録である。光尚が「領国返上」を申し出て死去し、降って沸いた一大事に国中は騒然となった。家老松井興長の養嗣子寄之(細川忠興末子)が急遽江戸へ下り、方々手を尽くして、幼少の嫡子六丸(綱利)に遺領の相続が決定する。そんな中出頭の寵臣林外記は殉死するだろうと囁かれていた。そういう状況での佐藤傳三郎の討ち入りである。傳三郎の口上書には、その原因が何であるのかが記されていない。双方十数人の死者が出たにもかかわらず、傳三郎には特にお咎めが有ったとは伝えられていない。不思議な事件ではある。