津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

小壺狩り・・「鷺絵源三郎久重覚書」から

2007-07-29 12:10:26 | 歴史
 永青文庫にある「鷺絵源三郎久重覚書」が、そのまま「三齋公伝書」として今日紹介されている事を知った。鷺絵源三郎とは松屋会記を著した松屋源三郎の事である。松屋が所持する名物に、肩衝、鷺絵というものがあるそうだが、後者の鷺絵に由来して鷺絵源三郎としたのであろう。この覚書は三齋の「懇命」によって成されたとされるが、その内容は多岐に及び大変興味深い。その中にある三齋に関する茶会が、「松屋会記」に転載されていることは当然である。(芦屋在住のT氏のご教示と、膨大な資料を頂戴した、感謝)

 さて薄田泣菫の「小壺狩り」という小説が有る。松井康之の中間が旅の途中で見つけ手に入れた小壺が、康之の元へ上がる。康之の死後忠興に献上された。康之も忠興もその素晴らしさに魅了されるのだが、小者によって見出されたという経緯から、一抹の不安が心の中に残っていた。しかし古田織部によりその素晴らしさが認められて、その不安から解消されるというような話である。創作では無かろう、ならば作者は何処から題材を得たのだろうという疑問が残っていた。**青空文庫で読めます**

 「鷺絵源三郎久重覚書」(あえてそうしておく)や「松屋会記」のなかに、よく似た話が紹介されている。松井康之の鉄炮衆である「いなづ」が同様の経緯で小壺を見附け出している。以下は同じとも云っていい。泣菫は此処に題材を見出していたのだ。新しい資料に出くわして驚き、無学の不甲斐なさを思うのだが皆さん「よくぞこんな事まで」と思わせる勉強振りに脱帽である。
コメント
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