津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

「金嚢移文」

2009-06-01 20:47:35 | 歴史
 紅星と号する人が「金嚢移文」75巻を著している。ガラシャ夫人の介錯役を勤めた、小笠原少斎の玄孫に当る加々美又兵衛である。

 私は最近「落書」に興味を持ち、上妻文庫に親しんできた。そんな中でこれらが元々は「金嚢移文」所載の文が多い事に気付いた。ならば原文を読みたいと思って一月ほど前からチャレンジしている。熊本県立図書館は、1~6巻、8~26巻、46巻を所蔵している。和装本に几帳面な文字で書かれており、その内容は多様である。40ページほどの目録が作成されているのでコピーを申し込んだが、許可を得られなかった。ならば書き写そうと思ったが、何せ量が多すぎる。1回に2~3ページ写せば、10数回では写し終える。頑張ってチャレンジしてご紹介しようと思っている。先にご紹介した分だけでも、合計462もの様々な記事を紹介している。これでも全巻の約1/3に過ぎない。全てが揃えば物凄い数の挿話に出会うことができるのだが、残りは何処にあるのだろうか。
目録を写し終えたら、計26巻分を写真撮影しようかと密かに考えている。果たして許可が出るかどうかが問題だが。
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内膳家の兄弟

2009-06-01 09:22:39 | 歴史
 忠興(三齋)の長男・忠隆(休無)が廃嫡され、二人が親子の情をもって親しく語り合う機会を得るまで数十年の時を経ている。休無には坊丸(与八郎・忠恒)、侍者丸(半左衛門・忠春)という二人の男子があった。三齋は二人の孫と対面を望んだが何故か坊丸は御目見をしていない。三齋の短気ぶりは怒りとなり、侍者丸をして嫡孫と決めてしまう。そして自らの屋敷に侍者丸を招くなど偏愛ぶりが昂じてゆく。長じて与八郎(坊丸)は、幼い頃の自らの行動を大いに恥じ入ったという。半左衛門(侍者丸)はそんな兄の気持ちを思い、父・休無を通じ与八郎を嫡孫とするよう三齋に申し入れたという。事はそのように処理されたようだが、三齋の与八郎に対する思いは変わらなかったように思われる。

 三齋が亡くなり、休無が亡くなると与八郎(忠恒)が二代目を継いでいる。弟・半左衛門にも3000石が与えられた。与八郎については藩主光尚の肝煎りで、直参として将軍家に仕えるための働きかけが行われていたが、光尚の死により頓挫する。与八郎は三代目を弟・半左衛門に禄3000石と共に譲り隠居するが、後継に問題が起きないように自らに子が出来ないように配慮していたという。祖父・三齋に疎んじられた自分を、兄として立ててくれた弟半右衛門に対する尊敬の心情をみる思いがする。与八郎は側に仕えていた「津ま」なる女中の、自分の死後の行末を案じて本家に依頼している。十人扶持を得て出家尼となったとされるが、与八郎の墓守で余生を過したのであろうこの人こそが、実質上の妻であったのだろう。一門・連枝・三家老家をしのぎ、座席筆頭の座をえる内膳家の家格は、こうした形で確立されていくのである。
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ある結婚式での出来事

2009-06-01 08:25:43 | 歴史
 10年ほど前の話だが、大叔父から「息子の結婚式に出て欲しい」との招待を受けた。当日の席次を見ると、私の紹介には「○○家当主」とかかれていて吃驚してしまった。初めてあう縁戚の人もある。そこは同じDNAをもつ者同士ですぐ打ち解けて話が弾んだ。そんな中での話である。「(戦前)私達は書類に記名する時、士族○○○○の甥とか姪とか書いたものですよ」と言われる。○○○○を私の父の名前を言われたが、祖父の間違いだろうと思われるが・・・

 士族とは当主とその一族を云う。故に戸籍は数代に渡り分かれることなくその数は数十人にもなったとされる。分籍すると士族とは認められないから、何の得があるのか知れないが、当主を頂点とした三角形が出来上がり、一族のつながりもより強固なもの成っていく。子弟の教育なども相互扶助によって一同に行われていたように思われる。(当然一族の経済的問題はあるが・・)昭和22年の民法改正で廃止されたこの制度により、一族という認識が急激に薄らいでいく。昭和17年生まれの私は、一族の長たる祖父母・父を亡くし(昭和19年)経済的にはまったく孤立無援の状況に成ってしまった。時を経て「歴史狂い」に迷い込み、人様のお宅の歴史を垣間見るとき、一族とは果たして何なのかに改めて思いを致さずに入られない。

 細川内膳家の歴史を読むとき、一族の存続と兄弟を思う心情の深さに強く打たれるのである。ここに一族のありようを知る思いがする。このことについては別項でご紹介したいと思っている。
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